溺れるほど(５) ページ26
.
目が覚めるとそこは懐かしい自分の部屋で、眠たい目を擦りながらもベッドの隣にあるチェストの上に飾ってあるみんなとの写真を見て思わず頬が緩む。‥‥本当に帰ってきたんだぁ。昨日は楽しかったな。最後の方酔っ払いすぎて記憶があやふやだけど‥‥‥。
仕事が始まるまでの１ヶ月間は実家で甘えようと決めて本当に良かった。この居心地の良さは何にも変え難いものだから。そんなことを思いつつリビングに向かうとちょうどお母さんが買い物に出かけるところだった。「ご飯あるから食べてね」って‥‥‥なんて幸せなんだろう。私は嬉しすぎてお母さんに思いっきり抱きついてからお見送りをした。
ご飯をよそって、お味噌汁をあっためて今日は何をしようかと考えているとひとりぼっちの部屋にインターホンが鳴り響いた。まだパジャマなのに‥‥と思いながらも呼び出し人を確認すればそこに居たのは
「優太でーす、A起きてます？」
朝からとんでもなくお洒落な優太だった。
＊
「あ、ねぼすけ」
優太は扉を開けた私を見て揶揄うように笑ってから開口一番にそう言った。私は途端に自分の格好が恥ずかしくなっていたたまれなくなる。すっぴんだし‥‥‥。とにかく優太をうちにあげてから、「着替えてくる‥！」と逃げるように部屋に走った。スーツケースから適当に服を選んでリビングに戻ると何故か優太はまた私を見て笑った。
あれ、なんかおかしかった？組み合わせ変かな‥‥
笑われた理由が見つからなくてキョロキョロしていると、優太はゆっくりと私に近づいてきて腕を伸ばすと私の後頭部をふわっと撫でた。突然のことにビックリして思わず首をすくめてしまう。‥‥なに！？
「ピョンってなってる。鬼太郎みてぇ」
「！」
なんだ‥‥‥‥ねぐせかぁっ‥‥恥ずかしい‥‥
優太のお洒落加減と、私のどうしようもなさの対比があまりにもハッキリしすぎててなんか申し訳なくなる。優太、すっごいお洒落になったなぁ‥‥‥昔は変なTシャツばっかり着てたのに。‥‥‥ていうか私こんなに優太のこと見上げてたっけ？昨日は気づかなかったけど今日になって、色々なところに４年の月日を感じて、まだ慣れない感じがする。昨日みんなに会ったけど、特に優太はなんかすごく大人っぽくなってて、なんとなく‥‥気まずい。なんでだろう‥‥‥
そんな謎のモヤモヤを心に抱えながらも、私は鬼太郎みたいな寝癖をなおしてから優太にもお母さんのお味噌汁をご馳走した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みく(プロフ) - 05410さん» ご返信ありがとうございます！そしてそして更新もありがとうございます♡！！！ここ最近で1番テンション上がりました（笑）楽しみすぎて逆にまだ読めていませんが大切に読ませて頂きます！！！これからもご自身のペースで無理はなさらず！！応援しています♡ (2022年10月7日 16時) (
レス) id: 664af2be8c (このIDを非表示/違反報告)
05410(プロフ) - みくさん» コメント有難うございます！♡なんと、私もいちごみるくのひゅうが君視点書けたらいいなぁと思い下書き進めていたのでビックリしました！！ちょっと長いですが、更新しましたので是非楽しんでくだされば嬉しいです♡これからもよろしくお願いします！♡ (2022年10月6日 14時) (レス) id: 40ea45267b (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 主さんのお話どれもどれも最高です！！「いちごみるく」本当に本当に好きで、もし機会があったらその後のお話とか、ひゅうがくん目線のお話とか読みたいです！これからもお話楽しみに待っております！！ (2022年10月5日 7時) (レス) id: 664af2be8c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - こんにちは！いつも楽しく読ませて頂いています！こちらの短編もゆうたくんのお話も大好きです！！！応援してます！！！！ (2022年10月5日 7時) (レス) id: 664af2be8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：05410 | 作成日時：2022年5月14日 22時
