レモンと金糸雀 IV (ページ16)

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Ⅱ ページ16

「……Aさん」

『！久野ちゃん…』

私の救世主である！先程の淑女は久野美咲ちゃんだったようだ。

ごめんね、ありがとう助かったよ。

「さっきの…」

『あれね〜…いるんですけど〜って思っちゃった。』

「…Aさん。るりかさんは赤ちゃんと自分の体調だけ考えてくださいね！」

あの人たちは人としてありえないですっ！

そういってぷりぷり怒る久野ちゃんは私の中では初めて見るので新鮮で、なんだか抱きしめたくなるくらい可愛かった。

「もう！笑い事じゃないですよ！もっと怒っていいと思いますよ！」

『んふ笑誰だかわからないし、言わせとけばいいのよ。ありがとうね』

「…Aさんはあまり怒ったりしないですよね。優しすぎますよ。」

『違うよ。優しくなんかない。言われてるのはやだけどさ、言ったところで変わらないんだから。』

まだまだ新婚だよ？別れる気なんてサラサラないよ。

「ステキ…！西山さん幸せものだなぁ」

いいなぁ恋したいなぁ〜とうわの空を見上げる久野ちゃんは直ぐにいいひと見つかると思う。

次の仕事はお互い別のスタジオのため、久野ちゃんとはエレベーターでさようならをした。

その後もちょくちょく聞くことがあった。

ワンチャンが今日はよく吠えてんなくらいに思っていた。

ああほらまた今日も

「こないだのツイート見た？幸せアピール甚だしいよね。」

「周りとは違います感？あれが無理」

「分かる〜‪w」

「弟さんも可哀想だよね」

そんな会話から遠のくように帰路に着く。

やっぱり悲しさはある。そんなふうに思われてるんだ…とちょっと考えて

いや理不尽じゃね？と我に帰るのだ

今日はうっすーーーい味の野菜スープを今朝方仕込んでいるので私はそれを食べて、宏太朗さんにはカレールーを入れてカレーにして食べてもらう。

一石二鳥やで。

血圧高くなっちゃうから塩分計算が面倒くさい。

お菓子もいっぱい食べたいけど、ベビたんに影響したら怖いから摂生してる…

しゅんくんがくれたお菓子たちとっても重宝してるぜ。

頭をいっぱいにして言われた影口をどこかに追いやる。

ちょっとはこの時警戒しとけばよかったのかな。

そんなことを思っても今更遅いのだけれど。