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そして。
「！」
気づく。
阿部は気づいただろうか。いや、これはいくら阿部が人間離れしていても無理だ。
流れで重鎮が阿部に酌を要求し、阿部がそれに仕方なしに応じたスキに、それは行われたからだ。
少年が、大きめのスーツの袖から、何かをとりだす。そしてそれを、阿部の猪口の中に落とし入れた。
「・・・・・」
それをしっかりと見届け、目黒はさて、どうするかと思案した。
今ここで全てを明らかにすることは簡単だ。しかし、この場でそれを暴いたところで、この少年が一人でやったことだと決着がつくだけだろう。少年の一人や二人、替えなどいくらでもきく。
けれど、何か得体のしれぬものを、阿部に飲ませるなど言語道断。
アルコールも手伝って、それがどんな効果をもたらすか、わからない。
さて、どうしようか。
できれば、阿部の名を汚したくない。
さらに言えば、ここでことも荒立てたくない。
付き人だかなんだかの少年二人はさておいて、今日の相手は国防軍のトップと財界の重鎮。この二人がグルだった場合は最悪だが、もし今回のこの毒物混入が、財界の重鎮の単独なのであれば。
いや、さすがに軍関係者の前で毒を盛るなんてそんな派手なことをすることもないだろう。
とは思うのだが。
少なくとも、なんとかことを荒立てずに、阿部にその酒を飲むなと伝えなければ。
だが、どうにもタイミングが悪い。
決して怪しまれてはいけない。
話をしているところに割り込んでは、不審がられるおそれがあった。
ぐるぐると考えているところで、はっと我に帰る。
阿部が談笑しながら、促されたらしくそのしなやかな手を猪口へと滑らせたからだった。
「どうですかな、この銘柄は。これは私の故郷の酒でしてな・・・」
勧めているのは財界の重鎮。
先ほどから飲んでいるこの酒、しかし、何かが混入されたのは、さっき。
どうすれば良い。
どうすれば、自然に止められる。
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優(プロフ) - ??o??i .さん» ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！朱�遒気鵑両�説もめちゃくちゃ好きなので、コメント頂けて嬉しいです！ (2021年1月4日 20時) (
レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
??o??i .(プロフ) - 突然コメントすみません…！朱�遒任后�コメントから来ました！この作品の雰囲気、私の好みで一気に読み進めちゃいました…！笑これからも応援してます！ (2021年1月4日 18時) (レス) id: 48c6179bad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆ | 作成日時：2020年12月1日 13時
