01大貴 ページ1
それは、あまりにも出来すぎた偶然。
「なんで俺が…」
ムカつくくらいの快晴。
吐く息が白く見える。
いまだに納得のいっていない俺の独り言はさっさと空気に流れて消えてしまった。
整備しきれてない砂利道はガタガタと自転車のタイヤを押し上げて、乗り心地は最悪。
俺の故郷は山に囲まれた超のつく田舎。
この狭い空間が嫌で嫌で…窮屈で…
中学卒業して上京したのに…したのに!!
カーカーと頭上でカラスが鳴いているのさえもイライラポイントを突いてくる。
俺は東京で随分と短気になった…
いや、それは元からか。
4年の月日が経てば東京の景色なんて変わってしまうけど…ここは何も変わっていない…
帰る場所はしっかり残っていたことに不本意ながらも少しホッとしてしまった。
高校を卒業した俺は適当に自動車の専門学校に入った。
それなりに興味はあったから…
他に夢もなかったし、いいかなって。
もちろん後悔なんてしてなくて、それなりに楽しい毎日を送っていた。
ガチャンと自転車を雑に留めて、裏口から店に入る。
「ただいまーっと…」
俺の実家は和菓子屋。
大して儲かりもしない。このジジくさい感じがたまらなく嫌いで、家を出たのに……
「大貴おかえり〜買ってきてくれた?」
「あー、はいよ」
無くなってしまった消毒用のアルコールだ。
2ヶ月前、俺は学校をやめてここに帰ってきた。
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作者名:ぴのこ | 作成日時:2016年11月5日 19時