僕ら青春邁進中 ページ5
※他サイトにて掲載していた物を加筆修正及び占ツクにて寝た別名義で掲載していた物をサルベージしたものです。※
石川ユウキ。
その名前はこの学校の生徒なら誰しも一度は聞いた事のある名前だろう。
インターハイ、国体、春高の三冠を達成したバレー部のエース。
その実力は昔から専門雑誌で取り上げられるくらい高い。
しかも、イケメンと来たものだ。
これはモテる。試合で全校応援となったら黄色い声援浴びまくりだ。
そんな石川ユウキは今、私の目の前で桃色のグミを口に放り込んでいる。
「上条ちゃんさ〜」
「何さ、ユウキちゃん」
「俺、このグミいい加減飽きた」
「嫌なら食べるな」
「美味いんだけど、1週間連続は長くね？」
どんだけハマってんの？と笑う顔は、少年から青年への成長過程独特の幼さと大人っぽさを併せ持ったアンバランスな魅力を持っている。
「上条ちゃん、飽きねえの？」
「飽きない」
口の中にグミを放り込むと春限定の桜味の香りと味が口内に広がる。
春に桜味のお菓子はごまんと出るが、ついそれに乗せられるように買ってしまう。戦略に乗せられているなぁとも思うが、桜味が好物なのだから仕方ない。
「ホントに好きなのな」と頬杖を付いて笑う顔は石川ファンから見たら生唾物だろう。
「好きじゃなかったら買わないっての」
甘い物があまり得意ではないと公言しながら甘い物を食べるユウキちゃんに偽る理由を聞いた時「先手を打ったまで」とニヤリと笑ったのは大分前のこと。
モテる男は大変なのね、と呆れ半分、同情半分。
「ユウキちゃん」
「ん〜？」
「明日も買うからね」
グミを上に放り投げ、口でキャッチしたユウキちゃんは「飽きないね〜」と笑った。
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作者名：速水 | 作成日時：2016年6月17日 18時
