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どうしてこうなった。
ボールを投げようとしている部員さん。
その目的地のセッターの位置にはユウキちゃん。アタッカーの位置には私。
何が始まるんだと他の部員達まで見て来るものだから若干居心地が悪い。
私完全に部外者だし。
「ユウキちゃ〜ん、どうやって打ったら良いの〜？」
「授業でやらなかった？」
「やったけど…」
どうやるんだっけ？
授業なんて試合が殆どだし、やっぱりバレー部が中心だし、来たボールを上手い具合に上げるだけで良かったし…。
しかも、袴だからやりにくい事この上ないし…。
「普通で良いんだよ」
「普通…」
普通？
普通って言われると普通って何だろうって思う。気分はゲシュタルト崩壊。
「はい、いくよ〜」
「え！？あ、お！？」
トン、とユウキちゃんの手から綺麗に弧を描いて上げられたボール。
慌てて助走を付けてスパイクの真似事をしてみたけど、当然ながらユウキちゃんのような音も威力もなく、軽い音で打たれたボールはネットに引っかかりながらも何とか反対側のコートに落ちた。
「バレー部って凄い…」
あんなスピードと威力のスパイクを叩き込めるんだもん。
しかも、今やらせて貰ったみたいにフリーの状況なんて滅多にないだろうし。
でも、どんなに苦しい状況でも決めるのがエースであるユウキちゃんなのだろう。
圧倒的な実力。絶対的な信頼。固く結ばれた絆。与えられるプレッシャー。
その全てを背負ってユウキちゃんは跳ぶのだろう。
「上条ちゃん、意外と飛んだね」
「ホント？」
「ホント」
「ユウキちゃん。バレー部って凄いね…」
「上条ちゃんだって剣道凄いでしょ。全国行ってんじゃん」
「別に凄くないよ」
「上条ちゃんが考えてるのと一緒。俺達だって凄かないよ。ただバレーが好きなだけ」
そっか。一緒、なのか。
バレーが好き。剣道が好き。
楽しくて、強く、上手くなるのが楽しくて、苦しい時も辛い時もあるけれど、それをひっくるめて好きだと言える。
そんなもの。
ー
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作者名：速水 | 作成日時：2016年6月17日 18時
