カラフルボックス

２ ページ35

「で？ナギ、何だって？」

「へ？」

「へ？じゃない。何か言おうとしていただろ？」


何ですか、アキさん。ちゃんと聞いてたんじゃあないですか。
って言うか、良く良く考えたら会話が成立していた時点でアキは俺の話をちゃんと聞いていたって事だよね？


「アキってば…」


思わずニヤけた俺の顔面に向かって素早く向かって来た大きな手を慌てて受け止める。
危なっ！お前のアイアンクローって痛いんだよ！手が大きいから握り潰されそうなんだよ！


「あ！あの！伸びた！伸びたって言おうとしたんだよ！」

「髪が？」

「何で髪が伸びた事をいちいちお前に報告せにゃならんのだ」


髪は自然と伸びるわ。そして切るわ。


「髪じゃない、背！身長！し・ん・ちょ・う！」

「そのくらい想像が付く」

「じゃあ髪なんて言うんじゃないわよ」


面倒臭いと文句を零せば、お前の方が余程面倒臭いとピシャリ。
うう、真っ当な意見過ぎてぐうの音も出ない…。


「そう言えば、祐希も伸びてた筈だぞ。身長」

「え？！そうなの！？」

「ほら」


寄越された、今さっきまでアキが読んでいた祐希が表紙のバレー雑誌。
パラパラと祐希のインタビューページを開き、紙面の端に記されたデータに書かれている身長は193。


「あれ？祐希って191だったよね？何で？ミスプリ？誤植？」

「事実は素直に認めろ」

「何で伸びるか！ハタチ！」

「お前だって22で伸びたんだから、ハタチの祐希だって伸びる可能性はあるだろうが」

「冷静な分析ありがとう」


祐希も伸びてたとは誤算！盲点！
しかも193って！どうせならもっと伸びて欲しかった！
いっそアキをも超えてしまえば良いのだ！


「で？ナギ。お前はいくつになったんだ？」


うっわ、言いたくない。
さっきまで聞いて欲しい気持ち満載だったけど、今は言わなきゃ良かったという思いに変換。


「ナギ？」


ソウデスヨネ〜。言わなきゃいけないですよね〜。
言うから、その背後の黒いものしまってくれないですかね〜？


「……………189.5」

「……見事に身長伸びた祐希とマサさんの真ん中だな」


狙ってんのか？とニヤリされたけど…


「狙ってる訳ないだろおおおおっ！」


狙って身長の伸縮出来るならお前より高くしてるわっ！
祐希とマサさんの真ん中なんて取らないわっ！


「ナギ。大学のバレー部と全日本のホームページのお前のデータ変えて貰え」

「嫌だっ！自らネタを提供したくないっ！」



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晴れ渡る空(ヘタレ選手番外編#15)→←ある青年の受難４(#12)男主

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