それが私じゃなくても(#8) ページ3
「告白されました」
「そうですか」
「断りました」
「そうですか」
「みんな俺に夢見すぎです」
「そうですね」
ポンポンと軽快な言葉の応酬。
盛大な溜息と共にゴンと机に額をぶつけた祐希を見ながらパックのイチゴミルクをすする。
「コートの上ではあんなに堂々としてるのに、実際はヘタレだもんね、祐希」
「慎重と言ってくれ…」
「ちょっと違う気がする」
コートの祐希を王子様のように思うのは仕方がないくらい、バレーをしている時の祐希は輝いてるし、格好良いと私も思う。
多分ね、この素のヘタレを見せたってギャップが良い!とか受け入れてくれる人は沢山いるんだろうけど、過去に自分の好きな人に告白されて付き合う事になったんだけど、ヘタレを知るなり「こんな人だと思わなかった」とアッサリ振られて以来、祐希は恋に臆病になった。
女子か!と突っ込みたいけど、振られた時のグズグズに落ち込んでいる姿を知っているだけに止めておいている。
私もそこまで鬼じゃない。
「A、慰めて〜」
「甘いのと辛いのとしょっぱいの。どれがお好みで?」
「甘いの」
「さすがヘタレ」
「俺は褒められて伸びるタイプなんだもん」
もん、ってあんた。
可愛く言っても190近い男なんだから可愛くないぞ。
でも、まあ…
「がんばれ、祐希」
「感情こもってないし!」
慰めるならちゃんと慰めてよ〜!甘口希望!と唇を尖らせるもんだから、はいはいと頭を撫でてやる。
テキトー!なんてブーブー言ってるが知ったこっちゃ無い。
「祐希」
「…なに?」
あ〜、ムスクれてるや。
ちょっと遊びすぎちゃったかな?
「きっとヘタレの祐希もまるっと受け入れてくれて、祐希も好きになれる人が現れるよ」
「うん…」
きっと現れる。
祐希がまた好きだと思える人が。
きっとまた、振られたらグズグズに落ち込んでしまう程好きになれる人が現れるよ。
祐希の隣で笑って、祐希を笑顔にしてくれる人が現れる。
そうしたら、私も嬉しい。
そう、例え
それが私じゃなくても。
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速水(プロフ) - ゆめさん» 嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2016年6月10日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 速水さんの作品大好きです!特に、ヘタレ選手が好きなのです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2016年6月10日 1時) (レス) id: 44f44b19a6 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ? yu ?さん» 本当ですか!?ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です! (2016年6月9日 15時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
? yu ?(プロフ) - ハムスターのしつけ方 、すごいよかったです!連載化してほしいレベルです(´・_・`)笑 (2016年6月9日 14時) (レス) id: f79162b6f0 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ゆらぎさん» 需要ありますか!?良かった!また思い付いたら受難シリーズも更新させて頂きます! (2016年1月27日 14時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月24日 1時