カラフルボックス

ハート泥棒(#8) ページ18

今日は朝からツイてない。

掛けた筈のアラームは掛かってなくて、見事に寝坊して朝食抜きだし、メイクも服も適当。

乗ったバスではスマホを忘れた事に気付いたけど、後の祭り。

しかも同乗者の鞄に髪が引っかかって、時間が無いからほんの一部だけど切っちゃった。

時間ギリギリに教室に向かったら誰もいなくて慌てて掲示板を見に行ったら、なんと教室が変わってた。

遅刻したらちょっと面倒臭い教授の講義だからキャンパス内猛ダッシュしていたら、何かの穴にヒールがハマって思い切り転んだ。

これだけでも恥ずかしいのに鞄の中をぶちまけてしまい、もう穴があったら入りたい。

何でここまで運勢が悪いのか、毎日見ているテレビの占いは見逃したけど最下位だったのだろうか…。


「はあ…」


もう遅刻で良いです、とやさぐれ気味でしゃがみ込んで拾っていると視界が影に覆われた。

快晴だった筈なのに曇り？
雨でも降るの？
空まで私を追い詰めたいの？


「あの」

「………っ！？」


空が喋った？！

なんて有り得ない事を思って咄嗟に顔を上げると空はやっぱり青空で、影に覆われたのはちょうど太陽を遮るように人が立ったからのようだった。

逆光で顔は見えないけれど、少し声が高めの男の人だ。


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