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「ちょっとこっち来てよ」
「いや、チームに合流しなきゃいけないので無理です」
「は?良いから来なよ」
「無理です」
私の拒否なんて御構い無しで、むんずと腕を掴まれるけど、こんな事している場合じゃないの!
短い導火線を何とか死守しながら、ここで騒ぎを起こしてはマズイぞと逃げ出そうと試みるも、断固として逃してくれようとしない。
おいおい、往来で何てことをしてくれる。
仮にも学校の名前背負っているのに。
ヒソヒソがザワザワに、私達を見る目の数も増えていくのをヒシヒシと感じる。
これは本当にマズイ。
こちらに落ち度は無いとはいえ、騒ぎになれば真実なんて簡単に歪曲されてしまうからどう伝わるかなんて分からない。
ユウキさんが有名になった事でうちのチームが注目されている今、騒ぎを起こすのは更に更にマズイ。
こうなりゃ強行突破!と半ば綱引き状態になっていた腕を振り払おうとした瞬間、首に後ろから腕が回り、グイと引き寄せられた。
思わず飛び出したカエルの潰れたような声を恥じるよりも、状況を理解するよりも先にドンと背中にぶつかる衝撃と共に、嗅ぎ慣れた匂いが鼻をくすぐった。
「うちの後輩になんか用ですか?」
頭の上から降って来たのはいつもよりトーンを落とした声で、自分に向けられた訳じゃないのに私の心臓までビクリと跳ねた。
「ゆ、ユウキさん…」
「行くぞ、A」
「は、はい!」
いつの間にか、私の手を掴む手はユウキさんのものに変わっていて、引っ張られながら振り返ると、女の子達が酷く慌てた様子でこちらを窺っていて、目が合ったら思い切り逸らされた。
いやいや、そこで気まずくなるくらいの覚悟だったの!?
こんな往来でけしかけて来ておいて!?
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速水(プロフ) - ゆめさん» 嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2016年6月10日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 速水さんの作品大好きです!特に、ヘタレ選手が好きなのです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2016年6月10日 1時) (レス) id: 44f44b19a6 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ? yu ?さん» 本当ですか!?ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です! (2016年6月9日 15時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
? yu ?(プロフ) - ハムスターのしつけ方 、すごいよかったです!連載化してほしいレベルです(´・_・`)笑 (2016年6月9日 14時) (レス) id: f79162b6f0 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ゆらぎさん» 需要ありますか!?良かった!また思い付いたら受難シリーズも更新させて頂きます! (2016年1月27日 14時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月24日 1時