カラフルボックス

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「人としてはムカつくしかないっ！」


飲み掛けのペットボトルを地面に叩きつけて怒鳴れば、隣から小さく溜息が…。


「一応相手は先輩だよ？Aちゃん」

「でも！でも！」

「それに、そんなに意地悪な人ではないと思うけどな」

「初対面の人間に“ちっさっ！”って言う人のどこら辺が！？」


会う度に縮んだ？って言う人が！？
ちっさくて見えなかった、とかわざとらしく言う人が！？
人の頭を肘置きに使う人が！？

等々、日々の鬱憤をぶちまけるような勢いの私に対し「Aちゃん以外の俺達に対する態度辺りが」とサラリと言う柳田タカヒロことタカちゃんとは、高校からの同級生であり、同じバレー部…の選手とマネージャー…だった仲良しさん。

タカちゃんのお兄さんもプレミアリーグや全日本で活躍し、世間では石川ユウキと人気を二分していると言われるような有名選手の柳田マサヒロさん。
母校であり、弟のタカちゃんもいるうちの高校の応援に足を運んでくれた時に何度か話をする機会があったけれど、ユウキさんと違って落ち着いた雰囲気で、意地悪なんてしなくて、もう本当に雲泥の差。


「私にだけって余計に性格悪い！」


ユウキさんは高校時代から、バレーをしている同世代の間では知らない人はいないってくらい有名で、高校のチームメイトといる時はニコニコとしている人だったから、怖い人では無さそうだなとか優しそうとか良い印象だった。
だけど、大学に入って同じチームに所属する事になって初対面の時に緊張しながらも挨拶した私に掛けられた言葉は「ちっさ！」で、それでも平均より遥かに低い147センチだから自分でも小さいと言われるのは慣れてるし、バレー選手から見たらそれが余計に際立つ事も理解してしていたから普通に笑って「そうなんです」で済ましていた。
その後も会う度に“ちっさい”とか、わざとぶつかって“見えなかった”とか、言って来るから、何か気に触ることでもしてしまっただろうか、どうしよう、と悩んでいたんだけど、それが毎日毎日続いて気付いた。
この人、私をからかって遊んでるだけだ、と。


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