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「そうだ。こないだ練習試合来てくれたの?」
「う、うん。行ったよ…。生で試合を見ると迫力が違うね。凄かった!」
「そっか。来てくれてありがとう」
「うん」
ほら、ね?
柳田くんはあたしの事なんて見付けられない。
今だってふと思い出したから聞いただけ。
「行ってないよ」と言っても、きっと「そうなんだ」で終了。
理由を聞く訳でもなく、怒る訳でもなく、それで終わり。
それは柳田くんの中での私の立ち位置を明確に示している。
あたしだけ柳田くんに翻弄されて、柳田くんはあたしになんて気に掛けていない。
それはあたしがして来た事の答え。
結局、臆病者は傷付くのが怖いからと躊躇して、想い人の心に印象付けるどころか、気に掛けさせる事すら出来ていないのだ。
「柳田くん…」
「なに?」
あたしは一体どうしたいんだ。
柳田くんとどうなりたいんだ。
付き合いたいの?
このまま思い焦がれるだけで良いの?
この想いを伝えないまま、消えていくのを待つの?
でも、柳田くんが誰かと付き合ったと知れば一丁前に後悔するんでしょ?
心を乱されるんでしょ?
泣き明かすんでしょ?
自分が何もしないからなのに。
情けないにも程がある。
臆病者め。
手が届かないのなら、声が聞こえないのなら自分が近付け。
柳田くんが来ないのなら自分が行け。
根性見せろ、恋する乙女。
「ちょっとだけ、付き合って」
ー
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リッカロッカ(プロフ) - 花蓮さん» コメントありがとうございます!もう良過ぎです!(笑) (2015年10月25日 13時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - とっても面白いです!良いですよね〜柳田君 (2015年10月25日 12時) (レス) id: b02621fbce (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 速水です。コメントありがとうございます!大好きと言って頂けてもう感激です!続編もまとまったら掲載しようと思います! (2015年10月24日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 速水さんが書くお話全て大好きです。個人的には、この二人の今後が読みたいと思いました。そのくらいハマってしまいました(*´ω`*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月10日 19時