12 ページ21
「うわあ…」
柳田くんの人気舐めてた…。
学内外からの人で観客席は埋まってるし、いや勿論柳田くんスキーな人ばかりじゃないのは分かってる。
他の部員が好きだったり、バレーボールが好きだったり、自分もバレーをしていて見に来たとか、様々だと思う。
でも…、柳田くんへの声援が凄いんだもん。
柳田くんの一挙手一投足に歓声があがってるんじゃない?って感じ。
スパイクなんて決めた時には黄色い歓声だもん。
「やっぱり、綺麗なんだよなぁ…」
バレーのスタンダードなフォームなんて知らないけれど、柳田くんは漠然と綺麗だと思う。
多分、そこに恋補正は掛かっていない…筈。
「今のスパイク凄くない!?」
「凄すぎ!やっぱり志望校ここにする!柳田くんと同じキャンパスライフ!」
隣で興奮気味にはしゃぐ女の子達に「オイオイ、それで志望校決めて良いんかい?」と内心ツッコミを入れつつも、その積極性が少しだけ羨ましくなる。
きっとこの子なら、あたしのように足元にいくつも言い訳を並べて進まないようになんてせずに、真っ直ぐ柳田くんの元へ向かって行くのだろう。
そして臆病者のあたしはそれを羨ましげに見ているだけなのだ。
「遠いよ…」
伸ばした手は届かない。
紡いだ声は聞こえない。
近いのに、とても遠い。
この中であたしは柳田くんを見つけられるけれど、柳田くんはあたしを見つけられない。
大勢の中の1人。
例えばあたしが消えたとしても、柳田くんの世界に変化は生まれない。
このままだったら。
あたしと柳田くんの世界を変え得るのは私自身の足。
踏み出せ。
差し伸ばされる手を待っていてはダメだ。
自ら立ち上がらなければ。
ー
79人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リッカロッカ(プロフ) - 花蓮さん» コメントありがとうございます!もう良過ぎです!(笑) (2015年10月25日 13時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - とっても面白いです!良いですよね〜柳田君 (2015年10月25日 12時) (レス) id: b02621fbce (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 速水です。コメントありがとうございます!大好きと言って頂けてもう感激です!続編もまとまったら掲載しようと思います! (2015年10月24日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 速水さんが書くお話全て大好きです。個人的には、この二人の今後が読みたいと思いました。そのくらいハマってしまいました(*´ω`*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:速水 | 作成日時:2015年10月10日 19時