09-2 ページ16
「剣道?」
「そう、剣道!」
「長くやってたの?」
「幼稚園の年長から高校卒業まで。13年くらいかな」
「へえ。もしかして段持ち?」
「三段は持ってるよ」
凄いな、と微笑んでくれたのは物凄い、それはそれは物凄い嬉しいんだけど、このしっかりと筋肉が付いたふくらはぎはちょっとコンプレックスなんだよねぇ…。
周りはスラリとした足をしているのに、あたしは筋肉がしっかり付いたガッチリ足ってのが。
悲しいかな、スキニーとかもキツイし…。
それにしても、筋肉が気になるって柳田くん、アスリートだなぁ…。
コンプレックスだった足なのに、柳田くんと話す切っ掛けとなっただけで少しだけ好きになれそうなんてあたしってチョロい。
「剣道って授業でちょっとやった事があるけど、痛くない?」
そこで臭くない?と言わないところでも感動…!
高校時代、部活終わりに好きな人と会った時「お前臭いっ!」と笑われたのは黒歴史だ。
友達のような奴だったから揶揄い混じりだったんだろうけど、抱いていた恋心なんて一気に冷めたし、申し訳ないけど人としての性格も疑ってしまった。
笑って受け流せる度量の大きさが無かったあたしもあたしなんだけどさ。
「確かに痛い時もあるけど、剣道は防具を付けてるし。その点、バレーの方が痛くない?」
「そうかな?」
「だって、スパイクとかジャンプサーブとか腕で受けるんでしょ?あたし、いつも痛くて、だからバレー部に入らなかった…っ!」
そこまで言って気付いても時既に遅し。
私が痛いからバレー部を選択から除外したのは事実なんだけど、世界を相手にする程まで本格的にバレーをやっている柳田くんの前で言う事じゃないだろう!
「あの!バレーが嫌いって訳じゃなくてね!?見るのは好きなんだよ!?ただ、やるとなると痛くて…」
何を言っても言い訳にしか聞こえなくて尻すぼみになっていく言葉に、しゃがみ込みたくなった。
これはホントに柳田くんの中であたしが後ろに下がってしまったかもしれない…。
自分の取り戻せない失態を悔やみ、出来る事なら時間を戻してくれと願って俯いていた頭上から、押し殺した笑いが降って来る。
それは確かに柳田くんの声なんだけど、笑う意味が分からずに思わず顔を上げると、やはりそこには口元に手を当てて笑っている柳田くんが。
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リッカロッカ(プロフ) - 花蓮さん» コメントありがとうございます!もう良過ぎです!(笑) (2015年10月25日 13時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - とっても面白いです!良いですよね〜柳田君 (2015年10月25日 12時) (レス) id: b02621fbce (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 速水です。コメントありがとうございます!大好きと言って頂けてもう感激です!続編もまとまったら掲載しようと思います! (2015年10月24日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 速水さんが書くお話全て大好きです。個人的には、この二人の今後が読みたいと思いました。そのくらいハマってしまいました(*´ω`*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月10日 19時