case.16-2 ページ41
「ねえ、それって取材が終わったらもう会わないって事?」
「はい?」
キョトンと首を傾げる姿は、いつもなら頬をつねってみたり、髪をかき混ぜたりと宇佐木ちゃんの反応を愉しむ方向に持って行くんだけど、今は違う。
体の奥でチリチリと燃える小さな火は、焦燥か憤りか…。
「宇佐木ちゃんの未来に俺はいないの?」
「柳田くん?」
距離を縮め、背中が壁に付いて、顔の脇に俺が手を付いてみても、見上げて来る顔には焦りも照れもない。
きっといつもの意地悪だなんて思ってるんだろう。
少し前の宇佐木ちゃんなら顔を真っ赤にして、慌てふためいていたんだろうけど、慣れられたかな?
「ねえ…」
「何でしょう?」
「宇佐木ちゃんは、俺をどこまで許してくれる?」
「はい?」
「何をされたら、嫌だと思う?」
「柳田くん?一体何を…」
言い終わるより先に触れた頰。
ピクリと揺れた肩。
頬がほんのりと桜色に染まる。
「こうやって頰に触れるのは?」
「ど、どうしたんですか?」
「答えて」
少しだけトーンを落とした声に、しばし目を泳がせていたけど、小さいながらも答えは「大丈夫」。
「抱っこするのは?」
「これも同じです。恥ずかしいですが…」
「じゃあ、抱き締めるのは?」
言い終わるが早いか、腕の中に閉じ込めた小さな体。
苦しくならない程度に力を込めて、口付けるように髪に顔を寄せる。
「や、柳田くん?!」
明らかに戸惑っている宇佐木ちゃんに「許してくれるの?」と問えば、目を伏せて小さく頷いた。
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リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» いつでもどれでも感想お待ちしております(笑)物語も佳境に入って来ました!遅筆な上に掛け持ちしてますが、完結はちゃんとさせますので、読んでいただけたらと思います(^人^) (2015年10月25日 7時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - またまた感想失礼します。いいところで〜!とジタバタしてしまいました(笑)続き楽しみにしています!無理なさらずに速水さんのペースで頑張ってください(*^_^*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ざらめさん» コメントありがとうございます!亀更新ですが、気長にお付き合いいただければと思います^_^ (2015年10月12日 0時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ - すごく面白くて大好きな作品です! 忙しいとは思いますが、続きを楽しみに待っています! (2015年10月11日 22時) (レス) id: 1bafacbc57 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 毎日チェックだなんて…!ありがとうございます!嬉しいです〜!更新への活力になります! (2015年10月8日 20時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月1日 20時