case.2-1 ページ5
「避けられてる?」
あれから朝練が始まり、朝食、ミーティング、練習、昼食…といつものように時間を過ごし、宇佐木ちゃん含め取材陣もいつもと同じようにそばにいるんだけど、明らかに避けられているのが分かる。
今までだってそんな密に接していた訳じゃないけど、それでも目が合えば会釈をしてくれたり、休憩中に会えば挨拶をしたし、俺のプレーに目をキラキラさせていた。
だけど、目が合っても逸らされるわ、休憩に入ったら姿は消すわ、俺のプレーは見てないわ…。
明らかに避けてる。
思い当たる節はひとつしかないのだけれど、宇佐木ちゃんがどうしてそうなったのかが分からないから俺も動けない。
高所恐怖症だったのか。
嫌だったのか。
恥ずかしかったのか。
怒ったのか。
理由が分からないまま取り敢えず謝る事が時として地雷になるというのは、これまでの恋人との経験上良く分かっている。
まあ、あっちもプライベートではなく仕事での付き合いだから、謝られて怒りはしないだろうけど、有耶無耶にしてしまう感じがしてそれも何だか気持ち悪い。
「お〜い、マサさん?」
「……何?」
「全然箸進んでないけど具合でも悪いの?」
向かい側から心配そうに尋ねてくる祐希の言葉に、今が昼食中だったと思い出す。
祐希を含め、周囲の人は殆ど食べ終わりに差し掛かっているのに俺の皿はほぼ受け取った時のままだ。
「ちょっと考え事してただけだ」
「なら良いけど」
何かあるなら言ってよ、と言う祐希に礼を言い、食事を再開したけれど頭の中は宇佐木ちゃんの事ばかり考えてしまう。
今日の昼食時の取材は無いようで、なら当然ながら此処に宇佐木ちゃんの姿はない。
さて、どうしようか。
別に大勢のメディア中の1人と考えてしまえば、放っておいても良いのかもしれない。
だけど、あの子に対してはそれも何だか味気ない。
『凄い!』
この後も続く密着取材で、あのキラキラした顔を俺にだけ見せてくれないのは何だか気に食わない。
「俺が動くか…」
何か言った?と首を傾げる祐希に何でもないと笑って見せ、取り敢えず今は食事に集中する事にした。
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リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» いつでもどれでも感想お待ちしております(笑)物語も佳境に入って来ました!遅筆な上に掛け持ちしてますが、完結はちゃんとさせますので、読んでいただけたらと思います(^人^) (2015年10月25日 7時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - またまた感想失礼します。いいところで〜!とジタバタしてしまいました(笑)続き楽しみにしています!無理なさらずに速水さんのペースで頑張ってください(*^_^*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ざらめさん» コメントありがとうございます!亀更新ですが、気長にお付き合いいただければと思います^_^ (2015年10月12日 0時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ - すごく面白くて大好きな作品です! 忙しいとは思いますが、続きを楽しみに待っています! (2015年10月11日 22時) (レス) id: 1bafacbc57 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 毎日チェックだなんて…!ありがとうございます!嬉しいです〜!更新への活力になります! (2015年10月8日 20時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月1日 20時