case.10-2 ページ26
「何処に運ぶの？会議室？」
体育館と宿舎にはそれぞれ取材班に当てがわれた部屋があるが、エレベーターがあるとは言え、まだちょっと遠い。
手伝うよと手を差し出したけど、まあこの子が「はい、どうも」と渡す訳がない。
「気遣いは嬉しいんですが、大丈夫です！お二人のお手を煩わせる訳にはいきません！」
「別に、今は休憩中だしね？マサさん」
「あぁ」
「休憩は身体を休めるために使ってください。私なんぞのために身体を使わないでください！」
何なんだろうなぁ。
この子って結構面倒臭い性格してるのに、何でこう構いたくなるんだろう？
ふと一歩引いて考える俺の傍らでは祐希と宇佐木ちゃんが「手伝う」「大丈夫だ」と攻防戦を繰り広げている。
「マサさん！やっぱりAさんってかなり頑固だよ！」
「あぁ、知ってる」
知ってる。長い付き合いではないけれど
充分知ってる。
面倒臭いなら構わないで放って置けば良いのにな。
姿が見えなければ探してしまうし、見付けたらちょっかいかけたくなるし、大変そうなら手を貸したくなる。
「宇佐木ちゃん、ひとつ貸して」
「そういう訳にはいきませんて！」
「手伝いたいから手伝う。それで良いでしょ？」
半ば強引に紙袋を取って、ほら行くよ、と言う俺に倣うように、祐希は三脚を手に俺の隣に並ぶ。
「Aさん、俺もマサさんと同じくAさんを手伝いたいだけ。それじゃいけない？」
こういう時ばかり年下風を吹かせる辺り、こいつも結構策士だと思う。
天然か、作戦かは知らないが。
宇佐木ちゃんは、俺達の行為を無碍には出来ず、かと言って「じゃあ」と腹をくくる事も出来ず、挙動不審になっている。
「ほら、行くよ」
「行きましょう！」
この面倒臭い性格が無ければ、この子はもっと生きやすいんだろうなぁなんて思うけど、面倒臭くないと宇佐木ちゃんじゃないとも思う。
結局俺は宇佐木ちゃんが俺の言葉で、行動で、戸惑ったり、慌てたり、笑ったり、怒ったりするのを見るのが好きらしい。
「おいで。宇佐木ちゃん」
「あの…、ええと…じゃあ、お願い致します…」
恐縮から、小さい体を更に小さくして俺達に並んだ姿に思わず笑みがこぼれた。
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リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» いつでもどれでも感想お待ちしております（笑）物語も佳境に入って来ました！遅筆な上に掛け持ちしてますが、完結はちゃんとさせますので、読んでいただけたらと思います（^人^） (2015年10月25日 7時) (
レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - またまた感想失礼します。いいところで〜！とジタバタしてしまいました(笑)続き楽しみにしています！無理なさらずに速水さんのペースで頑張ってください(*^_^*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ざらめさん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、気長にお付き合いいただければと思います^_^ (2015年10月12日 0時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ - すごく面白くて大好きな作品です！ 忙しいとは思いますが、続きを楽しみに待っています！ (2015年10月11日 22時) (レス) id: 1bafacbc57 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 毎日チェックだなんて…！ありがとうございます！嬉しいです〜！更新への活力になります！ (2015年10月8日 20時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：速水 | 作成日時：2015年10月1日 20時
