case.7-3 ページ19
その後、念の為という事で病院に行って来て、異常なしと診断された宇佐木ちゃんは内出血してしまった鼻を隠すためだというマスク姿で夜、俺と祐希の部屋にやって来た。
他の部屋に行ってて祐希は不在だと伝えると、ちょうど良かったと笑う。
「本当にご迷惑をお掛けしました。そして柳田くんにはこれを…」
深々と頭を下げて差し出してきた袋には
見慣れたホームセンターのロゴ。
その中には、俺が寮に持ち込んだ抱き枕のクマが描かれたタオルが入っていた。
「お借りしたタオルは洗濯をして血は落ちたんですが、同じ物を買って来てお渡しします。
とりあえず今はそれをお納めください」
「別に洗濯したので良かったのに」
「いやいや、そういう訳には…。洗剤の好き嫌いもあるでしょうし…。
あ、もしかしてとても大事なものでしたか？」
「いや、そういう訳じゃないけど。でも、後でそれをくれるなら今これを貰う訳にはいかないよ」
「いえ。仮として使ってください」
ホントにこの子、バカ真面目だなぁ。
勿論いい意味で。
「じゃあ、有り難く使わせて貰うよ」
「ガシガシ使ってください」
「宇佐木ちゃん」
「何でしょう？」
「俺のタオルもガシガシ使って」
「はい？」
「せっかくだから使ってやって」
「いや、でも…」
「あれ？もしかして臭かったりした？」
「いえ！とても良い香りでした！フローラルでした！」
そこまで言って「でも…」と小声になった宇佐木ちゃんに、他に何か使えない理由でもあったか？と首を傾げる。
「何だかこう、私が使ったら柳田くんの何かが減りそうで…」
「何かって何？」
「努力といいますか、技術といいますか、やる気といいますか…。とにかく減ってしまいそうで…」
何それ、すげえウケる。
俺の本体タオルな訳？
「うん。そんな事は絶対にないから大丈夫」
「そうでしょうか…？」
「うん、ないから。マジで。
寧ろ使って、宇佐木ちゃんの気を注入しといて」
俺的には冗談のつもりだったのに、宇佐木ちゃんは目からウロコと言ったように大きな目を更に大きく開き、拳を握り締める。
「そうします！少しばかりですが、パワー注入しておきます！」
「う、うん…」
「どうかしました？」
「いや、別に…」
ヤバい…、腹抱えて笑いたい…。
なんなの、この子…。
どんだけ笑わせれば気が済むんだよ…。
取材終わる頃には俺の腹筋、崩壊してんじゃね？
ー
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リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» いつでもどれでも感想お待ちしております（笑）物語も佳境に入って来ました！遅筆な上に掛け持ちしてますが、完結はちゃんとさせますので、読んでいただけたらと思います（^人^） (2015年10月25日 7時) (
レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - またまた感想失礼します。いいところで〜！とジタバタしてしまいました(笑)続き楽しみにしています！無理なさらずに速水さんのペースで頑張ってください(*^_^*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ざらめさん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、気長にお付き合いいただければと思います^_^ (2015年10月12日 0時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ - すごく面白くて大好きな作品です！ 忙しいとは思いますが、続きを楽しみに待っています！ (2015年10月11日 22時) (レス) id: 1bafacbc57 (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 毎日チェックだなんて…！ありがとうございます！嬉しいです〜！更新への活力になります！ (2015年10月8日 20時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：速水 | 作成日時：2015年10月1日 20時
