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「緊急招集ーーーッ‼緊急招集ーーーッ‼産屋敷邸襲撃ッ…‼産屋敷邸襲撃ィ‼」
「「お館様!!」」
それは、翌日の出来事だった。
つい先ほどまで私、実弥、義勇で柱稽古をしていたのに。
無惨だ、無惨が来たんだ。実弥とともに全力で駆け出した。
お願い、間に合って、お願い。お館様!!
「見えた‼屋敷だ‼間に合っ……」
必死で走って目指したお館様のお屋敷は、目の前で爆発を起こした。
だんだんと無くなっていく煙の中から姿を表したのは見た目がほとんど人間と変わらない、鬼だった。
「テメェかァアア!お館様にィイ何しやがったァアアーーーーーー!!」
実弥の、叫びが響く。みんな同じ気持ちだった。ただ、お館様をお守りしたかった。
「無惨だ!鬼舞辻無惨だ‼奴は頸を斬っても死なない!」
っ、あれが無惨…‼
許さない。絶対にお前だけは許さない!!!
「風の呼吸___漆ノ型」
「雷の呼吸___参ノ型」
全員が一斉に無惨に襲いかかる。それと同時に足場がなくなり、落とされる感覚。
「目障りな鬼狩り共、今宵皆殺しにしてやろう」
無惨の耳障りな声が聞こえて思わず耳を塞ぎたくなった。
実弥と私は同じ部屋に落とされた。開いた襖から次々と鬼が襲いかかってくる。
「塵共…かかって来いやァ、皆殺しにしてやる」
実弥が、泣いている。今思えば、私は実弥が泣いているのを見たことがないかもしれない。
自分たち殺した鬼が志津さんだと気づいた時でさえ、泣かなかった。あの時は絶望の方が、大きかったのだと思う。
お館様は私たちにとってそれほど大きな存在だということに改めて気付いた。
溢れ出てくる鬼達をひたすら斬り続けた。
その間も周りの空間は動き続けて、次々と移動を強いられる。
「A!こっちだァ!」
「実弥っ!……あっ!?」
実弥のもとへ行こうとした。が、急に足元の襖が開き、実弥とは別々の場所へ落とされた。
ここは、なんなの。無惨の血鬼術?足場が安定しなくて戦いづらい。
早く実弥と合流しないと。出来るだけ固まって行動しないと、戦力が分散するのは良くない。
「シノブ!カナヲ!伊之助!三名ニヨリ上弦ノ弐撃破ァアア!」
「みんな頑張ってるのに、私だけ…っ!」
何の役にも立ててない。昨日はあんなに死にたくないと思ったけど、決して死ぬ覚悟がないわけではない。
柱になったからには、死ぬ覚悟で戦うというのはとっくに出来ている。
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2021年2月9日 1時