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「……そっか、そうだよね…!実弥はカナエのことが好きなんだろうなぁ、って思ってた。だから、さっき嘘ついたの。……迷惑、だった?」
「いや、んなことねェよ。助かった。てか気づかれてたんだな」
恥ずかしそうに、ふっ、と優しく微笑む実弥は、本当にカナエのことが好きなんだなと、ただ思えた。
それと同時に、私の心臓はギュっ痛んだ。
私は自分の気持ちを押し殺して、平然を装って答える。
「実弥が、わかりやすいだけだよ」
「かもなァ……」
「……伝えないの?」
「言うつもりはねェな。明日生きてるかもわかんねェし」
「それも、そうだね」
明日生きてるかもわからない。鬼殺隊の柱として当たり前のこと。
だけど、どこか諦めたようなその横顔は、私の心臓を余計に苦しめた。
「なァ、お前だったら、言うか?」
……私だったら?
実弥がカナエを好きじゃなかったら?
5歳の時に両親を亡くした私は、隣の家だったこともあって、不死川家に引き取られた。
そこから、12年間一緒に過ごしてきた。片想い歴は10年。実弥がカナエを好きになったのはたぶん、柱になってから。
初めて柱合会議で会った時だと思う。
私は、実弥と私が柱になった時に、好きだと伝えようと思ってた。
けど、それは叶わなくなってしまった。
それでも半年経った今でも、諦めきれずにいる。
答えは、一つ。
「相手に好きな人がいなかったら、言う、かな」
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2021年2月9日 1時