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天元さんと別れて蝶屋敷に寄った。
しのぶを探して廊下を歩いていると見覚えのある赤褐色の髪の毛を見かけた。
「炭治郎くん?」
「えっ?はい、竈門炭治郎です。あ、この前の…」
「覚えててくれたんだ。鳴柱の小鳥遊Aです」
「Aさんっていうんですね。俺、匂いで人覚えてるんです」
「匂い?」
「はい、人より鼻が効くみたいで」
「たんじろぉおおお、痛いよぉ、俺の手いつ戻るのおお」
炭治郎くんの出てきた部屋から、大声が聞こえた。
「善逸、大丈夫か?薬は飲んだのか?」
「飲ん…だ!?俺薬飲んでない?誰か!!俺、薬飲んだの見た人いないのおおお!?……へ、なに!?その美女…俺と結婚してください!!」
「ごめん、彼氏いるから」
「へ!?彼氏……じゃあ婚約者ではないんですよね!その人より先な俺と結婚してください!」
「やめるんだ善逸、これ以上恥を晒すんじゃない。すいません、すいません…」
「炭治郎、大丈夫だよ。善逸くんっていうんだね。もしかして雷の呼吸の使い手?」
「はい!そうです!ていうか美女が俺の名前をっ!?」
「私、鳴柱なの。治ったら一緒に鍛錬しない?見てみたい」
「い、いいんですかぁ〜!?こんなの一瞬で治っちゃうよ〜!待っててくださぁい!!」
「よかったなぁ、善逸」
「オマエ、ツヨイノカ…?」
「わぁ、びっくりした!何その被りもの」
「ゴメンネ、ヨワクッテ」
「伊之助、大丈夫だ!伊之助は強いぞ!」
急にかぶりものから声が聞こえて驚いた。
雷の呼吸を使う隊士と、猪みたいな隊士がいると聞いていたけどこの2人のことだったみたい。
「っは!えっ……」
「ん?」
「どうしたんだ?善逸。急に羨ましがっているような匂いがするけど」
「なっなんでもないぞ!うるさいな炭治郎!!お前は知らなくていい!」
「うるさいのは善逸だろう。今度は何をそんなに焦っているんだ」
「もういい!俺もう寝るから!Aさんは髪の毛下ろすとかした方がいいですよ!そんなに見せびらかして、もう俺知らないから」
「あっ、…ごめんね」
恥ずかしい、きっと接吻痕のことだ。善逸は不貞腐れたように布団を頭からかぶってなる体制に入ってしまった。
さすがに年下の子たちに色々と悪いよね…。
帰ったら実弥をしっかりと問い詰めようと改めて思った。
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2021年2月9日 1時