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「ふふっ、幸せだね」
「だなァ」
二人して後ろに倒れ込む。
横をみると実弥がいて、お互い照れたようにはにかむ。
先程の感覚を思い出して、本当に接吻したんだ、と思わず唇を触った。
「もっかいするかァ？」
「……いいよ」
実弥は一瞬驚いた顔をしたけど、私の後頭部に手を回すと、唇を重ねた。
今度は一瞬で離れることはなくて、さっきより長い。
さすがに息苦しくなって自分から離れた。
「もっかい」
「んっ……」
何度も重なる唇。
また苦しくなって酸素を取り込もうと唇を開いた。
すると、水分を含むざらっとした感触が私の唇の合間を塗って口内に侵入する。
「んっ……っは」
こんなの、知らない。
けど、これが舌だと理解するのに時間はかからなかった。
実弥の舌が私の口内を堪能するように動き回る。
さすがについていけなくなってトントンと胸を叩けばようやく唇が離れた。
二人の間には銀色の糸が伸びてちぎれた。
「えっろ」
「なっ……」
「その顔、俺以外に見せんなよ」
その顔、なんて言われてもどんな顔かもわからない。なんなら実弥のその少し赤くなった頬と耳と、幼い頃にしか見たことないような優しい顔も私だけが知っていたい。
「実弥だって、……」
「馬鹿、誰が見せるか」
「ならよかった」
擦り寄れば、抱きしめてくれる。
「あんまくっつくと我慢できねェけど」
「えっ…」
どうしよう、しちゃうってこと…？
離れたくないけど、してしまう勇気はない。
どうしようかともぞもぞとしていると、実弥は起き上がって私の耳元に唇を寄せた。
「嘘だァ。取って食ったりしねェって言っただろ。お前がいいって言うまで待つし」
「……したいって思うの？」
「そりゃァな。好きなヤツ抱きてェって思うだろ」
「そ、そうなんだ……」
ストレートな言葉に思わず顔が熱くなった。
私に合わせてくれるところも、本当に優しい。
待つって言ってくれてるけど、そんなに待たせてもいいものなのだろうか。
それに、付き合ったらどのぐらいでするもの？
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作者名：ゆゆ | 作成日時：2021年2月9日 1時
