わからない ページ11
.
あれ以来、前みたいに戻って頻繁にご飯に行くようになった。
前と変わったことといえば、私からだけ誘っていたものが、実弥からも誘ってくれるようになったこと。
実弥は、字が書けない代わりに鴉の爽籟が飛んできて、いつも知らせてくれる。
とにかく嬉しい。あの日、勇気をくれた小芭内には感謝しても仕切れない。
悩み事といえば、ただこの関係がなんなのかわからなかった。
別に名前をつけるほどの関係でもないかもしれないのだけれど。
忙しい合間をぬって週に3回はご飯に行くようになって、実弥の屋敷によく遊びに行くようになった。
遊びに行くと言っても、手合わせしろ、と言われる日もあれば、ただお茶を飲みながらおはぎを食べるだけの日もあるのだが。
ただ、一方的に私が屋敷に出入りしていた時とは違う気がする。
もちろん、私が実弥を好きな気持ちは変わらないけど、実弥はどう思っているんだろう。
「知るか。なぜ俺に聞くんだ。俺は不死川ではないのだからわかるわけがない。本人に聞けばいいだろう」
「聞けないから小芭内に聞いてるんじゃん…」
小芭内ありがとうの会において、話すのはもちろん実弥の話。
小芭内に聞いたところで、答えは出ないのだけど。
「わたし、遊ばれてるのかな」
「知らん。そんな器用なことできる奴じゃないと思うがな」
「やっぱそうだよね!!実弥はそんなことしないよね!」
「ふん、声がでかい。ちょっとは静かにできないのか。そんなんだと不死川に嫌われるぞ」
「えっ!?ほんとに??嫌われちゃうの…?それはヤダ……」
「っは、めんどくさいなお前は。んなわけあるか。いちいち俺の言うことを間に受けるんじゃない。もう話を聞かんぞ」
「えっ、なんで?いつでも話聞いてくれるって言ったじゃん。それも嘘なの?」
んなこと知らん。もう時効だ。と言って小芭内はうどんをすする。
ほんとに、こんなことで一喜一憂して馬鹿みたい。
結局この日は何の答えも見つからないまま小芭内と別れた。
.
309人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆゆ | 作成日時:2021年2月9日 1時