嫉妬…………？

奥岳 誠治 ページ49

奥岳side


おかしい………。


俺は遠くで照島と仲良さそうに話す彼女のAに目を向ける。



Aはいつもはうるさい。


『誠治先輩！カッコいいです！』

『犬がいますよ！かわいい！』

『誠治先輩〜！聞いてください〜！』


そう言って、俺から離れる事なんてあまりない。


友達がいるのか心配なくらいだ。


なのに、今日は一言も喋っていない。


それどころか、照島にずっとベッタリだ。


まぁ、そういう日もあるだろ。


そう思って、気にしていなかった。








―――――

「やっぱりおかしい………！」

あれから１週間経ったけど、Aとは全く話していない。


そして、相変わらず照島にベッタリだ。



さすがに俺でも、怒る。


俺はイライラしながら、Aの教室に向かった。


「A」

『誠治先輩!?』


驚きつつ、駆け寄ってくるA。


「ちょっといいか？」

『はい』


俺はAを人の少ない中庭に連れ出した。


「最近、おかしくない？」

『な、なんの事ですか………!?』


明らかに動揺している。


「いつもはずっと隣にいるのに最近はいないだろ」

気まずそうに俯くA。


「なんでだ？」


『そ、それは………





最近、誠治先輩疲れてるから、なるべくうるさくしないようにと思って………。


私、嫌われたくないから………』



モジモジとして、だんだん声が小さくなっていく。


「そうだったのか………。


ごめんな、変な心配かけて」


『いえ、私の方こそ、いつもうるさくしてごめんなさい』


ペコリ、と頭を下げるA。


そういうところ、真面目だよな。


「俺、この１週間で気づいたんだけど、Aがいないと、さみしい」


『えっ？』

「さみしいし、別の男と仲良くされるのは嫌だ」




―――そばにいろよ―――

作者から 8.19→←土湯 新

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