君だけに歌うよ vol.7 〜SJ Yesung〜

やみつき -ｷｭﾋｮﾝside- ページ19

何回やっても、俺はAに勝てなかった。
こんな時でも強いな…ほんと。

　
ゲームのやりすぎか、
ここのとこ続いた睡眠不足か。
　
霞んだ目を少しだけ擦る。

　

「キュヒョン…眠い？」

「ん、ちょっとね。」

　
　
帰りたくないな。

独特の空気が漂うあの宿舎に戻るのは、正直気が重い。

　
帰りたくないとか言ったら…どう言うんだろう。


　
「帰りたくないな。」


　
言葉にしてみた。


　
「帰りづらい……よね。」


　
は？
どういう意味だよ。
　
　
予想に反した言葉が返ってくる。


　
「あの時、私のことを…。そういうのもあって、やっぱり帰りづらいのかなって…。」


　
あぁ…なるほど。
またこいつは一人で抱え込んでたってわけか。


何だよ、もう。


そんなこと気にしなくていいのに。


　

「バーカ。そんなんじゃないよ。」

　

俺は重い腰を上げた。


　
「帰りづらいなら、泊まってく？」


……。
　
男心を掴んでるのか、そうでないのか。
　
大人な気遣いを見せると思ったら、この抜けようだ。
天然ではないにしろ、相当危なっかしい。


　
「今日は帰るけど……明日は泊めて。」


　
明日はメンバーそれぞれ地方での仕事があって、
ミュージカルを控える俺は、一人外されてた。

　
誰もいないんじゃ、メシにもありつけない。

…っていうのは半分言い訳。


　
「ご馳走様。美味しかったよ、『おこのみやき』。」
　
「お粗末様^^いつでも作るよ。」


　
この雰囲気……くせになりそうだ。

　

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