お願い事 ページ39
.
それから軽くご飯を食べたりお風呂に入ったり。
食欲はかろうじてあった。
なんだかんだして、あっという間に日付けが変わる手前。
「明日何限から？」
『えっと、2限から』
「おれも。一緒に行こ」
『うん、』
ベッドの上で私のことを抱き枕みたいに後ろから抱き締めるジョンハンの声が、耳にかかってくすぐったい。
真っ暗な部屋の中でふたり。
寝る前のこういう会話が好きだったりする。
スマホのアラームを8時に設定して枕元に置いた。
目を閉じればすぐに夢の中へ行けそうだ。
「A、今日七夕だ」
『あ、そうだね。星見えたよ』
大学の屋上からは星がよく見えた。
ほとんど泣いててぼやけてたけど。
今日は織姫と彦星が1年に1度だけ会う日。
今日は本当に、色んなことがあったなあ。
悲しくて、寂しくて。
だけど甘くて、温かくて。
あの時ジョンハンに会えてなかったら、今頃私はどうなっていただろう。
「Aは今日、なに願ったー？」
ふとジョンハンにそんなことを聞かれた。
七夕だってことは覚えてたけど、特になにも願い事なんてしていない。
そういうの、高校の頃まではやってたなあ。懐かしい。
『あ、短冊に書くもんねお願い事。なにもお願いしてないや…』
「そっか」
『ジョンハンは？なにかお願いした？』
「んー、秘密」
『えっ、気になる』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 943人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るり | 作成日時：2022年2月22日 14時
