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私のその言葉に驚いたのか、ソジュンは目をぱちくりとさせた後で、目尻を下げて困ったように笑った。
「…A、忘れちゃった？」
『…え？』
「俺、彼女としか手繋がないの。前に言ったことなかったっけ」
忘れるわけない。
差し出した手が握られることはなく、静かにそっとおろした。
心臓はぎゅっと潰れそうだし、ズキズキする。
これが答えだ。この人はやっぱり、優しくなんかない。
『じゃあソジュン…彼女いるでしょ今……』
「え？」
『昨日、見た。女の子と手繋いで歩いてるの』
ぼろぼろと、何かが崩れていくようだった。
私がそう言うと、彼は数秒だけ目を閉じてから再び私と目を合わせた。
そのたった数秒が、とても長いように思えた。
それから私に、うんと悲しい言葉をくれた。
「あー、見られちゃったか。そう、俺彼女できた」
『…っ、』
わかっていたことだったけど。
本人の口からそれを聞いた瞬間、頭は殴られたみたいに重くなって、胸は刺されたみたいにズキリと痛んだ。
「言わなきゃなーって、思ってたんだけど」
『いつから…』
「今年の4月から。言うの遅くなっちゃってごめんね？」
好きな人に、彼女がいた。
それも悲しいんだけど。
彼女がいる人と、私、散々身体を重ねて。
─────なんてこと、したんだろう。
.
*これから少しソジュンさんとのお話になる予定です。
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作者名：るり | 作成日時：2022年2月22日 14時
