第三話 ページ4
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side A
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A『ちょ…』
その正体は善逸の抱擁だった。
A『ダメだよ、善逸…!』
善逸『久しぶりに会った彼女がこんなに可愛いんだよ?抱きしめるしか無いでしょ』
A『もう…』
ここなら人目に付かないし大丈夫だろうと安心した私は善逸の背中に手を添えた。
善逸『好き』
A『(よく恥ずかしげもなく唐突に言うな…)』
善逸『Aは?俺のこと、ちゃんと好き?』
A『ちゃんとって…』
善逸『嫌い?』
A『なわけ無いじゃん』
善逸『好きか嫌いか聞いてるでしょ!?』
A『声が大きい…』
善逸『俺のこと好きなら好きって言ってよ!』
A『分かった分かった』
スカウトされたところで人気俳優になったところで、私の善逸は変わらない。
いつもうるさくて私にベタ惚れでとっても優しい。
そんなところはずっと変わらないのだ。
善逸『じゃ、行こっか!』
善逸は私の手を取り歩き始めた。
A『えっちょっと待って…!』
善逸『ん?』
A『行くってどこに?』
善逸『キメツ駅前のお店予約してるから、そこ行こう?』
A『キメツ駅前!?』
私が立ち止まり、善逸は振り向いた。
善逸『なにさ…』
A『キメツ駅前は人が多いからダメだよ…』
善逸『大丈夫大丈夫!』
そう言って善逸はまた歩き始めた。
A『善逸ってば!』
善逸『個室だし今はマスクしてるから平気だって』
善逸は前を向いたままそう話す。
A『バレても知らないからね?』
善逸『俺は別にバレてもいいんだけど』
A『そうは言ってられないでしょ…』
善逸はいつもこうだ。
世間に私達の関係がバレてもいいと思っているらしい。
A『(ダメだとか言いながら嬉しかったりするんだけど…)』
善逸『喜んでる音がするなあ』
A『うっ…』
善逸には嘘が付けない。
本心が筒抜けだからこそ安心して一緒に居られるというのも無きにしも非ずだ。
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そんなこんなで善逸が予約していたという店に着いた。
善逸『個室で予約してた者ですが…』
善逸は出来る限り顔を伏せて言葉を発した。
店員『ご来店頂きありがとうございます。楠見様でしょうか?』
A『!?』
善逸『はい、そうです。』
店員『それではご案内致しますね』
そう促され私達は店員さんの後ろを歩いた。
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作者名:華恋 | 作成日時:2020年5月4日 3時