第一話 ページ2
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side A
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A『ん…』
朝、私はいつもと同じように目を覚まし体を起こす。
カーテンの隙間から差し込む太陽の光は少し眩しい。
A『…』
私は自然と口角が上がった。
どうしてかって?
A『デート…』
そうだ。今日は善逸とのデートの日。
A『楽しみ。』
私はそう一言呟き、上機嫌で身支度を始めた。
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A『よし、そろそろ行こう。』
待ち合わせ1時間前。私は家を出る。
A『(一日中一緒に居られるなんていつぶりかな…)』
そんなことを考えながら軽い足取りで善逸の元へと向かった。
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向かった先は…
オシャレなレストラン?
沢山の人で賑わう繁華街?
自然が広がる大きな公園?
ううん、どれも違う。
A『(着いた!)』
そう、私達にとって馴染みのある場所。
Cafe glory だ。
A『(裏口の方に…っと。)』
私はそのまま関係者以外は入れない裏口の方へ足を運ぶ。
ここなら誰にも見られないため、いつもここで待ち合わせる。
A『(実はこうやってお忍びでデートするのがスリルがあって少し楽しかったりするんだよね。)』
最初から善逸が芸能人だった訳では無い。
付き合い始めて約1年が経った頃、私の彼は芸能事務所にスカウトされたのだ。
その時のことは今でも鮮明に覚えている。
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高校生活最後の年、春のことだった。
その日はgloryで善逸とシフトが被っていた。
店長『Aちゃん、善逸くんから何か聞いてる?いつもより来るのが遅いからちょっと心配だね』
A『そうですね、私は特に何も聞いていないです…』
店長『そうか〜、Aちゃんとシフトが被る時は絶対1時間前には来てるのにね?』
A『店長、からかってます?』
店長『いいねぇ…僕も青春したいよ…(泣)』
A『素敵な奥さんと子供さんがいらっしゃるじゃないですか!』
店長『それとこれとは話が違うんだぞ!?』
A『失礼致しました(笑)』
店長『今度は僕がからかわれてるじゃないか…『遅れてすみません!!』
仕込み中、和やかに店長と話していたところ遅れて善逸がやって来た。
店長『遅刻では無いから大丈夫!だけど、何かあった?』
善逸『えっいや、あの…』
A『?』
その日の善逸は珍しく真剣な顔をしていた。
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作者名:華恋 | 作成日時:2020年5月4日 3時