カタオモイ 【 すとぷり 】【 続 】

♯83 ページ37

…









「 僕さ、好きな人が居るって前言ったじゃん？ 」


『 …あ、うん、言ってたね 』









少し切ない表情を浮かべたころんくんは、私から目を逸らした。








幸せで溢れていた脳内が、一気に切なさに変換されていく。









「 絶対報われないって分かってたから、自分の気持ちに気付かないふりしてたんだよね 」

『 うん… 』

「 でも、A見てたら僕も頑張らなきゃなって思えたし、告白してみよう、一歩踏み出してみようって思えた…

だから、ありがとう 」


『 う、ううん…… 』









ああ、好きだなあ ＿＿＿









目の前で、直視できないようなキラキラした笑顔を浮かべる君をみてそう思った。









そんな幸せな気持ちと、告白しちゃうんだなあという悲しい気持ちが入り交じって、込み上げてくる物を堪える。









「 だから、告白するね？ 」









彼が私を見て柔らかい表情を浮かべ、首を傾げた。









『 ……待って 』









考えるよりも先に声が出ていた。
焦って彼を見ると、きょとんとした表情を浮かべている。









『 …わ、私もね、好きな人が居るんだけど、告白なんてしないつもりだったの。


その人、高嶺の花みたいな女の子と付き合っちゃうし、しかも別れて他に好きな子が居るなんて言っててさ？



そんなの勝ち目なんてないし、振られて今の関係性が壊れる方が嫌だなって思ってたんだよね 』









ゆっくりと心の内を話し始めると、神妙な顔をしたころんくんが頷いた。









『 でも、そんなのただの言い訳だったなって気づいた。
…怖かっただけなんだと思う。


さとみ先輩とか未羽とか、同じ軽音部のメンバーにたくさん助けられて、いろんな事経験して、告白してみようって思えたの。



あと、ころんくんのおかげでもあるよ？ 』









ふふ、と笑うところんくんが私から目を逸らす。









…

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