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♯68 ページ22










「 …A!! 」








後ろから飛んできた声。
声の主を見た侑那の顔が驚愕に染まった。







『 ころんくん… 』


「 ごめんね、辛かったよね… 」








そんな侑那の様子を気にも止めず彼は真っ直ぐ私の方にやってきて、私の肩を抱く。






ふわっと優しい匂いが広がり、安心感に包まれた。






…あ、だめ。
体に力を入れてぐっと堪える。









「 あ、いやこれは違くて… 」









黙り込んでいた侑那がさっきとは別人みたいな高い声を出して、視線を泳がせた。

そんな侑那を軽蔑の目で見つめるころんくん。







「 僕侑那がこんな子だとは思ってなかったなあ… 」






全部見てたよ、ところんくんが呟くと、途端に侑那が痛々しい表情へと変わった。







「 もう二度とAに手出さないでくれる? 」








その瞬間、侑那が目に涙を浮かべて悲しそうな、苦しそうな表情を浮かべた。


ころんくんの顔を見つめ、次に私の顔を見て走って去っていく。








「 A、…大丈夫? 」








黙って終始見届けていたさとみ先輩が、私に優しい表情を浮かべた。

ころんくんも、侑那を見ていた表情とは打って変わって優しげな目を私に向ける。



なんだろう。なんだか泣きたくなった。









『 …2人ともありがとう、ございます 』







やっと発せた声は微かに震えていた。
込み上げてくるものをぐっと堪えて笑みを浮かべる。








『 でも、こんな状況を作ったのは私だから 』

「 いや僕のせいでもあるから! 」

『 ううん、違うよ 』








私がボソリと口に出すと、ころんくんが首を横に振り、そんな言葉を口にし合う。


お互いに顔を見合わせて見つめ合えば、
あはは、と笑いあった。








なんだかこの感覚は懐かしい。









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羊飴。 - 初めて読んだのですが、感動して涙が出てしまいました。良い青春ですね。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d5ddecbe17 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - みささん» 2周目も読んでくださったなんて、、嬉しすぎます( ; ; )ありがとうございます!!ですよね、私も楽しそうだなあ、、って思いながら書いてました、、青春したい(( (2021年1月4日 14時) (レス) id: 4fed831af4 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - んん、2周目して終わったけどやっぱり素敵なお話、、! その後のお話もとてもとても楽しそうで、私も青春したいなぁ、なんて笑 また見に来ますね〜!! (2020年12月25日 20時) (レス) id: d171ceba74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - チョコさん» わーー、嬉しすぎます、ありがとうございます!! 思っていたより2人ともだいぶ鈍感になっちゃってて、長くなりました、、笑 本当にありがとうございます(;_;) (2020年12月24日 19時) (レス) id: 4fed831af4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - ( ・∇・)バナナさん» えー、もう嬉しすぎて言葉が出ません、、( ; ; )ありがとうございます!!学生時代のキラキラした青春?が書きたかったので!笑 受験もがんばります!! (2020年12月24日 19時) (レス) id: 4fed831af4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆる x他1人 | 作成日時:2020年5月11日 10時

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