ep.10 ページ7
＿＿＿＿＿ジョンウside
「なんで皆そんな顔するの？笑ってよ。」
ヌナが悲しそうにそう言った。
でもねヌナ、これは何も笑えないよ。
だってヌナが1番笑えてないじゃん。
お願いだから無理に笑おうとしないでよ。
＿＿＿＿＿約5時間前
今日は音楽番組の収録がある為、宿舎を出るのがとても早い時間だった。
まだ朝の7:40。
そんな早い時間でも関係なくファンの方はスタジオの前に居る。
有難い反面、少しぐらい休ませてくれという気持ちになる。
今日もいつものように車を降りて建物の中に入ろうとした。
入口のドアを潜るほんの直前、後ろの方で歓声ではなく悲鳴の様な声が聞こえた。
「A！！！！！！！！」
振り向くとほぼ同時にヒョンソギヒョンがヌナを呼ぶ声が聞こえた。
自分自身の目が捉えた光景を信じたく無かった。
「ヌナ…？」
地面に座り込んで頭から血を流すヌナ。
駆けつけてヌナのそばに居るヒョンソギヒョン。
そのすぐ側には地面に押さえつけられる1人の女性。
状況を理解するには突然の出来事過ぎて、考えようにも何も考えることが出来なかった。
頭と両膝から血を流していて、手に付いている血は擦りむいたのか頭の血を触ってしまったのか分からない。
きっと後ろにいたのであろう、どうすれば良いのか分からなくてパニックになりかけているヨシヒョンとジョンファニ。
大丈夫、大丈夫と言いながらジフニヒョンとマシホヒョンが2人に駆けつける。
ヌナにはヒョンソギヒョンとサヒヒョンが付いていて、
他のメンバーは俺を含め皆そこに立ち尽くしていた。
すぐに聞こえるサイレンの音。
警備員によってその場を強制的に追い出されるファン。
何か言ってるマネヒョンの言葉なんてもう耳に入ってこない。
ヌナが救急車に乗ったすぐにサヒヒョンに手を掴まれてようやく我に戻った。
そのまま何も言わずにいつもの楽屋までサヒヒョンは手を繋いでくれた。
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作者名：こな | 作成日時：2023年4月8日 2時
