21 ページ21
・
斗亜の中で出てしまった答えを俺は心から肯定できない気分になった。
壊れないように傍にいるって言ったって限度があるし、じゃあ傍にいれない時は、なっちゃんはどうなんの？って思うし、いつか二人とも壊れてしまうんじゃないかって、そんな事思ってしまう。
「付き合い方は人それぞれやし・・・斗亜となっちゃんがそれで良いんやったら、俺が何か言う事ちゃうんやけど・・・斗亜はそれで良いん？」
この数ヶ月、何度か斗亜から悩み事のような話を聞く度に、相手を信じる事の難しさや、自分以外の誰かを想う難しさを感じてた。
根っこの部分って相手が好きって気持ちなのに、それだけじゃなくなってしまって傷ついて傷つけてしまう。
好きなのに信じられないって、不安やストレスだし、嬉しい事も素直に喜べなくて猜疑心に囚われてしまう。
なっちゃん自身もしんどくて苦しいけど、それを自分のせいだって全部受け止めてる斗亜も、そのうち壊れてしまうんじゃないかって、心配になる。
「・・・全部リセットして最初からやり直せたらええけど・・・そんな事できひんし。・・・別れ話もしたけど、取り乱して泣かれて・・・この状態で別れても、もしかしたら捺香はこの先も付き合う人の事信じられへんようになってしまうって思ってん。・・・正直これは俺の中で賭けやねん。・・・こんななってしまった元凶の俺と居続けるのは苦しいかもしれんけど、一緒に苦しむし、俺の事乗り越えてってほしいねん。もうそれしか俺に出来る事ないし」
少し俯きがちに、自分に言い聞かせるように話す斗亜を黙って見つめていると、不意に斗亜が顔を上げて、少し笑いながら俺と視線を合わせる。
「それに・・・一回壊れてるし、俺。・・・でも、壊れて学んだ事の方が多かった。・・・でも、捺香は俺より絶対強いから、多分、俺の事乗り越えてから新しい人のとこ行けると思うねん」
「・・・新しい人って・・・」
「・・・俺の事、好きって思ってくれてるけど、半分執着になってるから。・・・今の状態乗り越えれたら、俺の事好きじゃなくなると思うねん。・・・誰かを信じるって気持ちは取り戻せても、俺自身を信じれるかは別問題やしな・・・」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - まなみさん» めちゃくちゃ嬉しいです！気持ちがコロコロ揺れ動く斗亜くんですが、最後まで楽しんでもらえたら嬉しいです！ありがとうございます。 (9月19日 21時) (
レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
まなみ(プロフ) - このお話が大好きで前作からまとめ読みを数回繰り返しています、、、！更新楽しみにしています！ (9月16日 19時) (レス) id: 5166b5aa5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2023年7月27日 13時
