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立ち位置や動きを確認しているとダンサーさんが席を外し、代わりにヒナちゃんがやって来て、動作の確認をする。


「仕事で一緒になるなんて思わなかったね?」

そう話しかけると「ほんまにビックリしました。秋絵さんに何も知らされず連れてこられて、スタジオ入ったら宮館さんいるから一瞬康二くんも居るんかなって焦りました」



周りに聞こえないくらいの音量でヒナちゃんが楽しそうに話す。

「宮館さん。手の先の仕草が綺麗ですね。どうやったら先まで色気でますか?」

ほんの一秒にも満たない手の振りをしっかり見ていた事もそうだけど、そう見せてる事に気付くのも正直驚いた。



振りは覚えたら誰でも踊れるけど、いかに美しく魅せれるかとか、伝わる表現力があるかとかは努力とセンスを積み重ねる事だと思う。


ダンス歴3年って聞いていたけど、他人の表現の理解力が早いと感じたし、それだけの努力をしてきたんだという事が質問の内容でわかる。

「ヒナちゃんは、ダンス好きなんだね?」
一言そう聞くと「好き・・・なんですかね?思うように身体が動かない事の方が多いから、悔しいって思う事の方が最近多いです・・・」

そう言って少し顔を伏せた彼女の顔は、確かにダンサーの顔だった。




「でも康二とダンスだったらダンスの方が好きなんでしょ?」
ちょっと意地悪な質問をすると、彼女は苦笑いのような困った顔をした。

「そんなことないですよ?・・・でも、私に必要な人です」

少しはにかんだ顔が可愛らしくて、女性らしさが出てる。
さっきから彼女を見ていると、表情が豊かで見ていて飽きない。




数十分彼女と会話してわかるのは、人を惹き付ける魅力的な女性だということ。
自分という軸がしっかりしているから人間力があって、年齢で判断してはいけないって感じさせられた。

あまり親しく話していると、周りにどう映るかわからないから、動きの確認をしてヒナちゃんは下がった。





プロポーズは流石に早かったんじゃないかと思うけど、ヒナちゃんが手放したくない魅力的な女性という事はわかった。
多分、今日の会話もそうだけど、彼女の舞台での表現に惚れてしまうと思う。

これからの彼女が楽しみなのは康二だけでなく俺もそう。
一彼女のファンとして、2人の事を見守っていきたいと思う。






next/pink

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作者名:あお | 作成日時:2023年6月30日 17時

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