君だけの華～another (ページ5)

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カフェオレのカップで両手を暖めるように持ちながら口に運ぶ莉子が「友達としては面白いし良い奴やし好きやけど、正直恋愛で斗亜の事好きになると・・・病気になりそう」って笑いだした。

莉子は笑ってるけど私は全然笑えなくて、莉子の言葉を聞いた時、背中が少し冷やっとした。

3年間ずっと斗亜が好きだった。
だけど、その斗亜への好きが、いつからか純粋な気持ちだけじゃなくなっていたことも、本当はどこかで気が付いていた。
ただ斗亜の横にいたかっただけの好きって気持ちが、斗亜がいなかったら死んでしまうんじゃないかって気持ちになってた。

「・・・斗亜の事、悪く言うわけじゃないけど・・・麻美の必死な姿見てて・・正直ちょっと怖かった。・・・昔はもっと純粋に斗亜の事が好きって感じやったのに、斗亜に引きずられてるってかさ・・・」

莉子が気を使って言葉を選びながら話すのが、見てて辛くなって「・・・私・・ちょっとおかしくなってたよね」って手元のカップを弄りながら視線をカップに移す。

「いや・・・斗亜の態度もさ・・・。麻美の事沼らせるだけ沼らせといて、俺彼女いるからって・・・ほんまあの時カレー投げつけたかった」
あの時、斗亜の人間性疑ったもんって、一緒にお昼食べてた学校での出来事を思い出して莉子の声がちょっと大きくなる。

「外部受験してたって昨日聞いたから、多分あの時直前だったし、何かイライラしてたのかなとは思うけど・・・それにしても、ちょっと斗亜・・・変わったなって・・・変な方に」
「・・・莉子の言ってる事・・・わかる。・・・なんか捻くれた気がする。・・・あれ？って思う事・・・結構あったけど、なんかそれも魅力的に見えてしまってた。・・・なんか、斗亜の空気に引っ張られて好きでい続けるのが当たり前みたいになってた」

気付けば会話が全部過去形になってて、少しは斗亜から離れることができたのかなと、ふと考える。

「斗亜の彼女さんって・・・どんな人なんやろう？・・・あんな斗亜と上手く付き合ってくん大変そうねんけど」

莉子の言葉に私も似たようなことを感じた。
斗亜って、透明な柔らかいイメージだったのに、いつからか薄い薄いグレー掛かって見えた。
ふとした表情なんかは今までと変わらないのに、その儚そうな影のある雰囲気にのまれそうだった。

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