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ごめんって言いながら捺香さんが慌てて涙を拭うから「ごめん。いらん事言いました？」って言うと「全然・・・教えてくれてありがとう」って返ってきた。
「・・・急に泣いちゃってごめんね？ビックリしたよね？」
少し落ち着いてきたのか、アイスカフェオレを一口飲んで捺香さんが苦笑いする。
「ほんまっすよ？俺泣かせたんか思って焦りましたよ？」って少しふざけると「よね？あー恥ずかしい。・・泣いたん斗亜に内緒にしてくれる？」って笑ってくれたからホッとした。
「・・・なんか不安な事とかあるんすか？」
涙の流し方がなんか情緒不安定に見えて唐突に聞いてみると「・・・斗亜が重いんじゃなくて、私がヤキモチ焼きやねん」って返ってくる。
「あ、そうなんすか？・・・でも、斗亜は捺香さんが自分に合わせてくれてるって言うてたで？自分が子供やからって・・・」
「・・・・そんな事言うてたんや」
捺香さんは少し下向いて、やっぱりなんか寂しそうに笑った。
「斗亜はそう思うかもしれんけど、女が年上ってのも、結構気にすんねんで？・・・さっきの子らみたいに、若くて可愛い子いっぱいいるし・・・」
捺香さんは寂しい笑顔のままストローをクルクル回す。
「そういうもんなんや？・・・俺からしたら斗亜めちゃめちゃ羨ましいで？・・捺香さん可愛いのにお姉さんやし、でも今日みたいな恰好してたら全然同い年に見えるし」
思った事を言うと、捺香さんは目を丸くして、嬉しそうに笑った。
「ほんま？風雅くんにそんな風に見えてるんやったら、ちょっと自信持てそう」
「俺、嘘は言わんで？・・・捺香さん気にしすぎちゃうか？・・・斗亜はモテるかもしらんけど、捺香さんしか見てへんで？」
そう言ってこの間の買い物の話をしてあげた。
目の前の彼女が身につけている時計を選んでた、優柔不断な斗亜の話。
まだ斗亜と知り合って3カ月ちょっと。
性格は似てないけど妙にウマが合うのか、短い時間の割にはだいぶ仲良いと思う。
だけど、斗亜と捺香さんがどんな付き合いをしてきたかとか、どっちもが心に傷を抱えて付き合ってるなんて、この時の俺が気付くわけもなく、ただ単に、仲が良いけどちょっと重めのカップルなんだとしか思っていなかった。
だから、彼女の寂しそうな笑顔の意味も急に泣き出した理由も全然わからなかったし、斗亜の異常なまでの女の子と関わらない態度も、ただただ彼女が大好きな重たい男なんだと思ってた。
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作者名：あお | 作成日時：2023年6月27日 11時
