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ちょっとトイレに行くのに席を数分離れて戻って来たら、捺香さんが同学部の女子達に話しかけられてた。
遠目から見ても捺香さんは少し困った顔をしていて慌てて割って入る。
「ちょ・・・お前らなんやねん？」
イラつきが声に乗ってしまった言い方に、女子達も少し気まずそうに「え・・・別に？見た事無い子だったから話してみたかっただけだよ？」なんて、よくわからない言い訳のような返事が返ってくる。
「風雅くん。大丈夫やし。・・・ね？」
そう言って捺香さんがやんわり俺を制して「いろいろお話してくれてありがとうね？」って彼女たちに話しかけると「あ・・・いえ、こっちこそ急にすみませんでした」って言って、女子達が離れていった。
「・・・大丈夫っすか？・・・なんかすんません」
「ううん。全然大丈夫やで？」
捺香さんが手を左右に小さく振って大丈夫ってする。
「あいつらになんか言われました？」
「あー・・・斗亜と風雅くんと仲良くなりたいみたいやで？」
捺香さんは小さく笑いながらアイスカフェオレのストローに口を付ける。
「2人と仲良いなら繋いでほしいって言われたけど、2人が誰と仲良くするかは2人が決めるからごめんねって」
2人人気あるんやね？ってニコニコしてるけど、なんかやっぱり寂しそうな複雑な顔。
俺と斗亜って言ったけど、3人いた女の内2人は斗亜に気があるし、斗亜に連絡先聞いて断られてる。
昼飯食ってる時から少し離れた席でこっち見てたから、斗亜と仲良いって思って捺香さんに声を掛けたのが想像ついた。
「・・・斗亜な、結構モテよるねん」
「・・・みたいやね。・・本人何も言わんから・・・」
「いや、本人モテてるってわかってないねん。・・・そんで女の子達も斗亜がガード堅いから気になりよんねん」
俺の言葉に何か引っ掛かったように捺香さんが「・・・ガード・・堅いって？」って聞き返してきた。
「連絡先聞かれたり遊びに誘われても、彼女しか興味無いからって全部断っとる」
捺香さんの顔が唖然としてて「・・・え？・・・女の子・・全部？」って独り言のように呟いたから「せやで？・・・俺からしたら一途ってか、だいぶ重い男やなぁって見えるけど、重たないん？」
ちょっと冗談交じりに聞いてみると、捺香さんの目から涙が零れたから、俺はビックリして固まった。
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作者名：あお | 作成日時：2023年6月27日 11時
