君だけの華～another (ページ25)

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本当に記念日とか気にしないタイプなのはわかっていたし、僕の事を気遣ってくれた彼女の優しさだったのに、誕生日さえ気を使われて、彼氏らしいこと何もできない自分に苛立って「じゃあ俺じゃない人に祝ってもらえば？」なんて言って電話を切った。

何で素直に、祝いたいから祝わせてって言えないんだろう。

そんな一言さえも言えない自分の心の狭さに一人勝手に苛立って、その後の彼女からの連絡も全部無視した。
ずっと胸の奥がチクチク痛くて、気にしないなんて事もできなくて、喧嘩してた数日は何にも頭に入らなかった。

結局当日も予備校に行ってても彼女の事しか考えれなくて、３コマの授業の１コマが終わった瞬間予備校を出た。

彼女のマンションまで来ると、彼女の部屋の灯りが見えた。
格好悪いなと思いながらもマンション入り口のオートロックに彼女の部屋の番号を押す。
TVホンだし、誰が来たかわかってるであろう彼女が無言でオートロックを解除して入り口が開く。

入り口で小さく溜息をついてマンションに入る。
エレベーターを降りて彼女の部屋の前でインターホンを鳴らすと、直ぐにドアが開いた。

目の前の彼女は珍しく拗ねた顔をしていて「来るんやったら連絡くらいしてーさ」って呟いた。
全然連絡返してくれへんしって言葉が続いて少し俯く彼女に「・・・こないだごめん」って謝るけど俯いたままで顔を上げてくれない。

僕が悪いから仕方ないけど、胸がやっぱりチクチク痛い。
少し屈んで俯いてる彼女の目線に合わせると少し顔を上げてくれた。

「・・・誕生日おめでとう」って言って、後ろ手に隠してた花束を差し出すと、拗ねてた顔が驚いた顔に変わる。

喧嘩もして、どうしていいかわからなかったから、何も用意していなかったけど、予備校から彼女の家までに花屋を見つけて慌てて買った、彼女っぽい可愛い色の花束。

「・・・何あげていいかわからんくて。・・・喧嘩してしまったし、今買ってん。・・・今度ちゃんとしたん買わせて？」

久しぶりに素直に思った事を言う僕の声は、自分でもビックリするくらい小さくて自信のなさそうな声だった。

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