another story Episode4 ページ23
Happy Birth Day
「もうそれでええやん？いつまで悩んでんねん」
もう一時間くらい、いろんな店舗を行ったり来たりして悩んでる僕が手に持ってる時計を指刺しながら、隣で風雅が面倒くさそうに言い放つ。
「いや・・・やっぱこれかなぁ。・・・でもなぁ・・」
このセリフももう何回目？ってくらい言った気がするけど、女の人のアクセサリーとかって種類多すぎて、見れば見るほど迷ってしまう。
「もうええて。これが一番似合うて」
そう言って風雅が僕の手から時計を取り上げ店員さんを呼んだ。
「あ・・・ちょっ」
「これにします」
僕の代わりに店員さんに時計を渡して勝手に決める風雅に「待ってーさ。もうちょっと考えさせてーや」って文句を言うと「もうあれやって。お前あの時計見てるん一番多かったし、彼女の雰囲気やったらあれやって」って言い切られた。
「・・・ほんま？」
「ほんまやって。・・・この一時間でお前が見た時計の数は７個。そんで一番手に取って見てた時計はあれ。・・・仕事でも使えるやつでアクセにも使えそうな時計やろ？ブレスんとこも華奢やけど細すぎひんし彼女っぽいやん？何にでも合わせやすそうやし、俺もあれが一番似合うと思うで？・・・ブランドもんやしちょっと高いけどな」
僕が思ってた彼女に似合う理由を口に出して言ってくれた。
誕生日プレゼントだし、どうせならやっぱり似合う物をあげたいけど、たくさん見すぎて困ってた僕の感覚を肯定して後押ししてくれる風雅の意見に安心する。
大学の帰りにバイトまで時間があったから、来週の彼女の誕生日のプレゼントを買いに来たけど、一緒にバイト入る風雅についてきてもらって良かった。
風雅に後押ししてもらってなかったら、多分今日買えてない。
「風雅ありがとうな。助かったわ」
まだ時間もあったから、カフェに入って時間を潰す。
「もう絶対斗亜と買い物いかへん・・・」
「いや、ちゃうやん？・・自分のやったらもっと選ぶん早いって」
文句言ってるし面倒くさそうにしてたけど、ちゃんと最後まで一緒に探してくれて、優しいなって思う。
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作者名：あお | 作成日時：2023年6月27日 11時
