Takuya side ページ1
T side
「で？」
「・・・・で？って言われても・・・・何？」
何の質問かなんとなくわかってる、気まずそうな返事を返す斗亜に、ストローのゴミを丸めて投げつけた。
「何？ちゃうねん。・・・お前旅行の夜、麻美に何したん？」
ストローのゴミじゃなく、はっきり質問を投げつけると更に気まずそうに手元のおしぼりを弄り始めた。
「・・・麻美から何か聞いたん？」
「麻美は何も言うてない。けど、２人きりで隣の部屋おって、次の日の態度見たら何もなかったわけないやん？・・・・・やったん？」
ストレートに聞くと「やってない」って間髪入れずに返事が返ってきたから、多分それは嘘じゃないんだろう。
「ほな何や？・・・・迫られたん？」
「・・・・言いたくない」
「・・・麻美、振り切ったなぁ。・・・で？ちゅーしたん？」
「・・・言いたくない」
「・・・つい、手出したん？・・・でも結局未遂で終わったんやな？」
「・・・知らん」
何があったか大体わかったところで「あのさぁ、そんな顔してたら何あったか言うてんのと一緒やで？・・・なっちゃんにバレへんようにしーや？」って言うと「・・・俺、もう無理やわ」って机に顔をつけてダレ始めた。
「なっちゃんと上手くいってへんの？・・・・もう麻美にしといたら良かったんちゃうん？」
「・・・上手くいってへんってか・・・俺のせいで傷つけてばっかりや」
突っ伏した目線の直ぐ先にあるグラスの水滴を人差し指でなぞりながら斗亜の口からポツポツと弱気な言葉が出てくる。
「・・・傷つける事せんかったらええやん。・・・・何したん？」
「何したってわけちゃうけど・・・素直になれへん」
「ほなもう別れてあげたら？・・・そんなんやったらどっちもしんどいやん」
簡潔に解答を述べるけど斗亜からの返事はない。
「なっちゃんは傷つけられて何て言うてんの？」
少し呆れながら斗亜の言葉を待つと、机に突っ伏したまま指で机をなぞりながら口を開く。
「・・・何も言わん。・・・俺が酷い事しても、どう思ってるかわからん」
「・・・何で聞かんの？聞けばいいやん。・・・てか、酷い事してる自覚あるんやったらすんなよ」
「・・・怖くて聞けへん。・・・わかってるけど、止めれへん」
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作者名：あお | 作成日時：2023年6月27日 11時
