巡り合う偶然の中の奇跡

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ライブツアーも始まり、年末に向かう僕らの仕事は通常の時期よりも増えていき、分刻みの毎日を過ごしていく。
今日も遅い時間しか会えないけど、車でヒナちゃんを迎えに行って家でゆっくり過ごす。




ヒナちゃんは元々大阪に住んでいたけど、高校一年の終わりにダンスの先生が東京に引っ越すことになり、一緒に生徒兼アシスタントとして上京してきた。


まだダンス歴２年目で高校生だったヒナちゃんのその行動力も凄いと思ったし、ヒナちゃんから親やダンスの先生の話を聞くと、子供でも自分で選んだ事にあまり反対しない人達だとヒナちゃんは言っていた。
ヒナちゃんのお母さんと先生が友達だったから、親御さんもヒナちゃんを任せたんだと思うけど、親御さんはきっとヒナちゃんを信じているんだなと思った。

信じているし、ヒナちゃんも自分の意志をはっきり持っていて、自分でちゃんと選べる子だからじゃないかなと思う。

僕はまだ親になったことなんてないからわからないけど、自分の子供の選ぶ選択を応援するって簡単な様で難しいと僕は思う。



僕もこの世界に留まり続けるのを、あまり口には出さなかったけど母はとても心配していた。
表ではめちゃくちゃ応援してくれていたけれど、当人の僕以上に心配と不安でいっぱいだったと思う。
口出ししたくなるけど、黙って見守るのって、よっぽど子供を信じてないとできない気がした。




だけど、それもまたヒナちゃんからしたらプレッシャーだと思う。
信じてもらってる分、なにか形にしないとって思うから。
少なくとも僕自身がそうだった。






卒業後の進路に悩んでいたヒナちゃんと、何度か将来について話をした。
ヒナちゃんは、こうなりたい自分像はあっても、そこにたどり着く過程にどんな未来を選べばいいのか悩んでいた。

多少道は違えど同じ方向性のジャンルにいる僕には、ヒナちゃんの不安も悩みもよくわかる。

辿り着く未来なんて今の自分には想像できないし、頭でイメージしていろんな想定したって、思い描いた通りの道になるかなんてわからない。



もし思い描いた通りになる未来なら、少なくとも僕はここにいないから。
だけど、描いていなかった今の僕の幸せは、間違いなく今の現実。

ヒナちゃんには、思い描いてない未来にも、それはそれで違う幸せがあるって信じて、悩んで選んでほしいなって思う。




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