僕の描く未来 (ページ5)

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彼女を見つけた時単純に、俺の事待ってたんかな？って思ったけど、俺が直ぐに駅に来るかもわからない状況で待ってるわけないよな・・・なんて思ったから「まだ帰ってへんかったん？・・・どうしたん？」って尋ねると「あ・・・店に忘れ物したんで取りに行こうかと迷ってて・・・」

彼女の言いにくそうな話し方で直ぐにピンと来て「あー・・・ごめんな？俺らがまだ店の前居たら戻りにくいもんな・・・。てか、気まずくさせてごめん。・・何忘れたん？」そう謝ると「メモ帳なんで次の時でも良いかなって思ったんですけど・・初日なんで忘れ物置いてって大丈夫かもわからなくて」なんて言う彼女はやっぱり気まずそうだった。

初出勤で声掛けてくれた先輩と話の流れで一緒に帰る事になったけど、彼女らしき人が待ってて気まずい状況に出くわしたのに、再びその場所に行くのは気が引けるよな。

「変な気遣わせてほんまごめんな？・・・・多分もうあいつも居ないと思うけど・・。あ、どんなメモ帳？俺取って来るしここで待っててくれん？」

透子ももう俺が居ないのにいつまでも店の前にいるのは考えにくいけど、もしまだ居たら長本さんも気まずいからおれが取りに行く提案をすると彼女は慌てて頭と手を左右に振った。

「そんなわざわざ・・・。多分休憩室の机の上に置いたままだと思うんですけど置いといても大丈夫ですか？」
「あぁ・・誰も勝手に捨てたりせーへんし、長本さんが置いといても大丈夫な物なら・・」
「今日教えてもらった事メモしてただけなんで・・・次のバイトの時で大丈夫です」

そう言って断りを入れる彼女に再度謝って、そのまま一緒にホームで電車を待っているとズボンのポケットの携帯が何度か震えた。

画面を見なくても誰からかわかってるけどポケットから携帯を取り出し画面に表示される名前をぼんやり見つめてると「・・・・出なくて良いんですか？」と隣から声がした。

「んー・・・出てももう話す事無いから」

隣の彼女に聞こえるかどうか位の声で返事をして再度ポケットに携帯を押し込む俺を、隣の彼女は黙って見つめてて、その視線がどうにも気まずくて「・・・さっき来てた彼女からやってんけど・・・別れたから」なんて、わざわざ言い訳を口にするものの一体何に言い訳してんだろって思ったけど、俺を見つめたままの彼女の視線には応えられなかった。

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