僕の描く未来 (ページ21)

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拙い感じで言葉を紡ぐ拓哉くんはいつもの余裕そうな感じじゃなくて、どうしたら良いかわからなくてオロオロしてるのがちょっと信じられなかった。

「・・・・別に拓哉くん、私の事何とも想ってないですよね？・・・ただのバイト仲間なんですから、そんな気にしなくて良いです。・・・・私も無かった事にしますんで」

強がって思わず突き放すような言い方をした私に「・・・・嫌や。・・・無かった事にせんといて？・・・・俺は覚えてたいし・・・・彗にも覚えててほしい」

拓哉くんから零れる言葉に私の胸はさっきと違う締め付けに息ができないような苦しさを感じた。

急に名前で呼ぶとか、気持ちを搔き乱されるような事ばっかりする拓哉くんに「・・・何で？」としか聞けなくて、そんな私の返事に「何でって・・・」って戸惑う声が聞こえて「何で覚えときたいの？・・・好きじゃない子とのキスとか・・・覚えとく必要無くない？それに・・・・・他の子ともそういう事してるような人とのキスとか・・・無かった事にしたい」

苦しい気持ちが昂って、拓哉くんを責める様な言葉しか出てこない私に「・・・俺、好きじゃないなんて言うてへん。・・・・渚のは・・・ほんまに言い訳やけど酔ってて。・・・てか、自分の気持ち気付いてへんくて・・・・でもさっきの長もっちゃんのメール見て絶対嫌やって思って。・・・・・もう好きな人とか彼女とか要らんって思ってたから、適当にしてたけど・・・その・・・・・俺と付き合ってくれん？」

拓哉くんの独白はしどろもどろで言葉もまとまってないけど一生懸命で、締め付けられて搔き乱された私の胸の中にゆっくり浸透していって、今度はさっきまでと違う甘いような泣きたくなるような感情でいっぱいになる。

でも拓哉くんの言葉に素直に返事して良いものかと躊躇ってしまう。
私の拓哉くんへの気持ちと、拓哉くんの私への気持ちが同じじゃないような気がしてしまうのは、私が今まで誰かと両想いになったことがないからなのか、拓哉くんの気持ちを疑ってしまう違和感なのか。

「・・・・・・・ごめん。・・・ちょっと返事に困る」

考えて考えて出てきた返事はノー。
拓哉くんの事好きだけど、なんか勢いで付き合ってって言われた気がして、それをそのまま受け取ってしまうと傷つく気がした。

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