明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ8)

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大学入学までの春休みは正直塞ぎ込んでた。

前向きに考えれる日もあれば、失恋した悲しみに涙する日もあった。
何が一番辛かったかって言えば、私は結局斗亜の何者にもなれなかった事だと思う。

付き合ってって言ったあの日、はっきり振られてたらこんなに引きずる事なかったんだろうか？
でも、彼女が居るって言われたあの日まで、友達以上に仲が良かった自信があって、楽しかったし幸せだった。

私の事付き合いたいって思うくらい好きだったって言ってくれた気持ちが嘘じゃないなら、斗亜も同じように楽しい日々を過ごしてくれてたと思いたい。
だけど、そう思えば思うほど、なんで私じゃなかったんだろうって、悲しくなる。

あの時こうしていればとか、もっとああしていたらとか、タラレバほど意味の無いものはないってわかっていても、掴み切れなかった斗亜の気持ちをどうしたら掴めたんだろうって、そんな、意味のない事ばっか考えては落ち込んでいた。

斗亜は最後まで優しかった。
でも、結局振るなら優しくしないでほしかったって思う気持ちもあれば、その優しさ含めて大好きだったから嫌いになれない。
斗亜自身も私に対してどうすれば良かったんだろうって、そんな風に思ってたのはなんとなくわかって、旅行の夜に斗亜が感情のまま言ってくれた言葉が本当の気持ちだったんだなって思うと、やっぱり嫌いになんてなれなかった。

好きだけど特別になれないって、凄く辛い、
そう思ってたけど、特別になれないって事は、たとえ好きだって言ってくれてても、その程度の想いだったんだって、気付いていたけどそれをなかなか受け入れる事が出来なかった。

春休み中、莉子が頻繁に遊びに誘ってくれて、最初の方は気分転換したくて出掛けていたけど、次第に無理してる自分に気付いて断るようになると「麻美の気が向く時はいつでも言って」って寄り添ってくれた。

そう言ってくれる友達がいてありがたいって思ったけど、どれだけ仲が良い莉子にも気を使わせてるのが苦しくて、気付けば自分の胸の内を晒すことは無くなっていった。

ただただ斗亜を忘れたくて、でも忘れたくなくて、行ったり来たりする毎日に疲れてた。

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