明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ6)

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「こたちゃんって麻美の事好きなん？」

ある日莉子ちゃんに唐突に聞かれた質問に俺は少し首を傾けた。

莉子ちゃんに胸の内を話したとしても、きっと莉子ちゃんは麻美ちゃんに言わない。
西村くんも莉子ちゃんも、いつも明るく楽しく場の空気を作ってくれてて決して真面目な感じは無いけど、誰かの噂話とか秘密の話を聞かされることはあっても自らそれに乗ったり言ったりしない人達なのは、たった数ヶ月の付き合いだけどわかった。

本当の事を言うのを少し躊躇ったのは、俺は麻美ちゃんに気がある事を見せてたつもりが無かったし、麻美ちゃんも莉子ちゃんも同じように接してたのに、あっさり莉子ちゃんにそう尋ねられるという事は俺の感情がダダ洩れだったのかと、恥ずかしかったから。

ちょっと気難しそうな顔で首を傾けてる俺を見て「あ・・・違ったらごめんな？・・・こたちゃんいつもみんなに同じように接してるけど、麻美を見てる時は・・・なんかちょっと甘い感じに見えたから。・・・・・ほんまにちょっとやで？やし、見当違いやったらごめん」

自分の顔の前で軽く手を振りながら謝る莉子ちゃんが「・・・・でも、もし、そうやったら・・・嬉しいなって」って言うから「・・・・俺が麻美ちゃん好きやったら、莉子ちゃんは嬉しいん？」っておうむ返しのような返事をすると「こたちゃん・・・一途そうやし、麻美の事大事にしそうやなぁって・・・」

莉子ちゃんのその返事に、少し前の麻美ちゃんと莉子ちゃんの会話を思い出す。

麻美ちゃんの好きなタイプの話を何人かで話していた時、自分だけを見てくれて大事にしてくれる人がタイプだって言う麻美ちゃんに他の子が、独占欲強いとか愛が重いとか言っていた。

俺はそれを聞いた時、独占欲とか重いとかよりも、タイプなんてもっと漠然としてる気がしたから、はっきりとタイプがある麻美ちゃんはタイプになる人物像があるのかなって思った。

その後莉子ちゃんと麻美ちゃんの会話で、麻美ちゃんには忘れられない人がいる事がわかった。

話の感じからして、相手はきっと仲の良かった友達で、傷ついた悲しい恋愛だったのかなって、そんな風に感じた会話だった。

「・・・・俺が一途かは自分じゃわからんけど・・・・好きになったらめちゃくちゃ大事にする・・・・と思う」

莉子ちゃんにそう言うと、莉子ちゃんは嬉しそうに優しい笑みを見せた。

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