明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ5)

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「なんか良いバイトない？」

GW明けの授業の空きコマを校舎内のカフェテリアで過ごしていたら西村くんが机に寝そべりながら聞いてきた。

大学に入ると交友関係も広がるし、交際費も結構かかる。
西村くんは特に友達が多いからか、あっちこっちの集まりに顔を出していて出費が重むらしく、GWも単発でバイトしてたらしい。

「前のバイト先って・・斗亜と一緒に働いてたとこ？」
「そうそう、人足らんからって久々斗亜と働いててん」

莉子ちゃんと西村くんの会話に俺も混ざって「何のバイトしてたん？」って聞くと、ブライダルの披露宴スタッフだと返ってくる。

披露宴とか大変そうな仕事を、前働いてたからって急に入れるのが凄いと思ってそう言うと「一緒にバイトしてた友達の彼女がそこの社員やし、融通聞いてくれるねん。・・・宴会スタッフって難しそうやけど慣れたら時給良いしお勧めやで」って西村くんは言うけど、何かそういうスタッフってマナーとかちゃんとしてて凄い大人な感じがするから、ちょっと西村くんが凄い人に見えた。

「お勧めなんやったら拓哉も戻ってバイトしたら良いやん？」
「単発やったらええけど、俺と斗亜、いろんな社員さんにモテて大変やってん」

そう言って、高校時代のバイト先で社員さんに誘われまくった話をする西村くんに「そんな自慢どうでも良いし別に聞きたくない」って莉子ちゃんがバッサリ言って「なぁ？こたちゃん？拓哉のそんなモテ自慢聞きたないよな？」なんて同意を求めてくる。

そんな２人のやり取りを楽しく見てたら、事務局に書類を出しに行ってた麻美ちゃんが戻ってきた。

「ただいまー。なんかめっちゃ笑ってたなぁ？何の話してたん？」
「あー・・・拓哉がモテ自慢してただけ。・・・それより、お昼何食べる？」

莉子ちゃんが壁の時計に目をやりながら話を切り替えた。
その後に西村くんのバイトの話が再開される事はなかった。

とあって呼ばれる人は、多分西村くんと一番仲の良い友達なんだろう。
西村くんや莉子ちゃんから彼の名前を何度か聞いたことがある。

俺はそのとあくんを知らないから俺が彼の話を話題にする事は無いけど、世間話の節々に彼の名前は頻繁に聞くからみんなと相当仲の良い人なんだろうなって思うのと同時に、頻繁に聞く割にはなにか会話の流れに縛りのようなある気がしたけど、それが何かわからずにいた。

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