明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ4)

今日:3 hit、昨日:24 hit、合計:1,926 hit

4 ページ4

・

普通に大学の同じ学科の友達ってだけなら、普通に仲良くなったと思うし、楽しく大学生活を過ごせているけど、なんだろう。
西村くんも莉子ちゃんも、何て言って良いかわからないけど友達以上のプライベート的な何かの話になるとやんわり空気が変わるような、そんな空気を感じていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最初に彼の名前を聞いたのは入学して一週間も経っていない頃だった。

「なぁ拓哉？斗亜ってなんで外部行ったん？ってか、あいつ携帯変えたん？連絡つかんのやけど？」

西村くんと高校からの友達が不意にそんな質問を西村くんに問いかけた。

「・・・・あぁ・・・なんか携帯調子悪いらしいで？言うとくわ」

なんとなく苦笑いを浮かべる西村くんがそう返事したと思ったら、莉子ちゃんがいきなり立ち上がって「てかさ？親睦会せーへん？どっか遊びに行こうさ？」って、急にこの後みんなで遊びに行こうって提案してきた。

オリエンテーションばっかりで授業もまだ始まってなくて遊びに行くには時間がたっぷりあったから、みんなその案に乗って、どこ行くかでワイワイし始めた。

みんな楽しそうに話しているのに、西村くんの表情がなんとなく寂しそうな笑顔に見えて何気に皆を見渡すと、麻美ちゃんも西村くんに似た表情をしていて、楽しい会話してる中で2人の表情が妙に引っ掛かった。

さっき、誰かの話をしてたけど、聞いた事無い人の名前だったから俺の知らない高校の時の内部生だった人の話のようだった。

質問した彼が聞いていたのは、連絡がつかない事と、この学校へ行かなかった理由。
外部へ行った理由を西村くんは言わなかったのは何でだろう？

多分そんな深い理由なんて無くて、たまたま携帯の方に意識がフォーカスしただけなんだと思うけど、知らないその人は誰にも進路を言わないまま違う大学へ行ったらしいけど、仲の良さそうな人にも言えない理由だったのかな？

その人がどんな人か全然わからないから、全然関係ない俺が疑問に思ってもどうしようもないけど。

ふと何気に思い出したかのような彼の質問は、質問した割には遊びに行く話に切り替わっても聞き返す事は無かったから、きっと内部生的には世間話の一つといった位置づけだったんだろう。

だけど、そんな他愛のない話と2人の表情で、俺の中でなんとなく残るものがあった。

・