明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ22)

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6.

こたちゃんから、予定無かったら・・・とクリスマスデートに誘われた。
クリスマスに誘われるって、やっぱ意識するし、夏休みにドライブに誘われた時のようなラフなものじゃないのは、私の返事を待つこたちゃんのちょっと硬い表情が物語ってる。

こたちゃんの望む気持ちとは少し違うかもしれないけど、良いよって返事をするといつもの柔らかい表情を見せてくれた。

どこか行きたいとこあるかと聞かれたけどクリスマスにどこ行けばいいかなんてわからなくて、こたちゃんは？と聞くと「良かったら俺が決めてもええ？」って珍しく主導権を主張してきたのでお願いした。

普段は私の意見ばっかり聞いてくれて自分の意見をあまり言わない彼だったから、正直驚いたけど、なんか嬉しかった。

「他の人に言いにくい事あったら・・・何でもええし言うてな？俺人の話聞くのだけは得意やで？・・・・あ、無理に言わんでええけど、無理して言わへん事・・・自分の中に溜めるんしんどい事は・・・言うて欲しい」

こたちゃんの前で泣いてしまった時、こたちゃんが言ってくれた言葉は私の支えになっていて、いつでも逃げ道があるって思うと斗亜の事を思い出す事も不思議と減って、気持ちが沈むことも少なくなった。

それはこたちゃんが好きだからじゃなくて、こたちゃんの好意を利用してるような気分にもなったけど、あの後もこたちゃんは今までと変わらないままで私の隣に居てくれる。

今まで感じた事の無い、なんだか温かくて落ち着いてる自分がいる事に気付いて、知らなかった自分を最近感じるようになった。

あれだけ自分が変わっていくのが怖いと高いハードルのように思っていたけど、踏み出せた一歩は思ったよりもずっと低いハードルだった。

斗亜を好きで一生懸命だった自分が、苦しいけど好きだった。
そんな風に思い出すと正直まだ胸がキュッて痛い気がするけど、苦しいだけじゃなくて楽しかったなって思える感情が増えて、少しづつ本当の意味で思い出になっていってるような気がした。