明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ19)

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麻美ちゃんと仲の良かった人に麻美ちゃんが良い子だって聞くと、なんか俺自身が褒められてるように感じてなんとなく気恥ずかしかったし、俺が麻美ちゃんに気がある話をすると、凄く麻美ちゃんを勧められた。

麻美ちゃんが他の人が好きみたいだって話にも、色々考えてアドバイスしてくれる嶋﨑くんを見てると、年下に見えた彼は意外と考え方が大人だなって思えて、谷口さんがあんな嬉しそうな顔で彼の話をする理由がよくわかった。

そんな話を嶋﨑くんにすると恥ずかしかったのかグラスを折ってしまってて、益々お似合いなカップルだなって印象を受けた。

何気なく思い出した嶋﨑くんの話をした時の麻美ちゃんの態度で、彼女の忘れられない人が誰かわかって、たまたま始めたバイト先で親しくなった社員さんの彼氏が自分の好きな人の忘れられない人だなんて、その辺のドラマよりよっぽどドラマな展開にどんな偶然が混ざり合ってんだろう？

パンケーキを食べ進める麻美ちゃんをニコニコして見つめるけど、心の中では何とも言えないモヤモヤが残る。

いろいろあって最終的に嶋﨑くんに振られたって言ってたけど、話の口調からして高校時代ずっと好きだったような感じだった。

２年近く付き合ってる彼女が居るのに最終的に振られるってどういうこと？
嶋﨑くんのせいじゃないけど誰かを好きになるのが怖いって？

いろいろあった内容がきっと麻美ちゃんを傷つけたんだろうってのはわかるけど、単純に片思いしてた相手に振られたって感じじゃなさそうで、でも無理に聞き出すような話じゃないからモヤモヤしたまま。

俺が麻美ちゃんを好きだったら嬉しいと笑った莉子ちゃんの顔や、周りに嶋﨑くんの話を振られた時の西村くんの微妙な顔や、写真を見せた時の谷口さんの少し動揺したような顔、麻美ちゃんの話をする時の嶋﨑くんの伏目がちな顔が浮かんでは消える。

似たような恋愛話はいくつもあるけど、登場人物が違えば全部たった一つの恋愛話。
麻美ちゃんの物語は一体どんな物語だったんだろう。
俺はその物語の先を描いてあげれるような主要人物になれるんだろうか。

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