明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ16)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:1,909 hit

16 ページ16

・

好意を感じる事はあってもそれは単に人として私を好意的に見てるだけかもしれないし、そもそも誰にでもそうなのかもしれないし。

なにより私自身がこたちゃんをそんな風に見てないから、あくまでも想像の中の話でしかなくて。

こたちゃんのことは単純に好きだと思う。
でもそれは拓哉に対する気持ちと一緒で、特別仲良い友達への気持ち。

一人の男性として意識すればまた違うのかもしれないけど、やっぱりどうしても斗亜の存在が脳裏を掠めていく。

新しい恋をするのが怖い。
もう誰かを好きになって傷つくのが怖いってのもあるけど、他の人を好きになって斗亜の事を忘れる自分が、今はまだ怖い。

もういい加減振られた男の事なんて忘れられるような次の恋ができるなら、さっさと次の人好きになればいいってわかってるけど、３年も斗亜だけを好きでいた自分しか知らないから、新しい一歩を踏み出すのが怖いんだって、やっとそんな風に思えるようにはなってきた。

今もまだ斗亜を好きなんじゃなくて斗亜を好きで一生懸命恋してた自分から抜け出すのが怖いんだって。

結局最後まで嫌いになれなかったし、きっと斗亜も私を嫌いになってなかったから、気持ちの終わり方がわからなかった。
人を嫌いになるなんて本当の意味で嫌いな人なんてそういない。
その瞬間、嫌だなとか思う事はあっても人を嫌うってなかなか難しい事だなって思う。

斗亜はずっと彼女が居たのに私と変わらず仲良くしてて、それは私がそうして欲しいって言ったからだけど、私の気持ちを知っててずっとそうやって一緒に居た。
仲の良い友達の範囲を超えてる時もあったけど斗亜がそれを咎めた事も無かったから嫌じゃないんだって思ってた。

花火大会の時２人で高台まで歩いて登りつかれてた私の手を引いてくれた時も、文化祭の準備中に迎えた私の誕生日にみんなでケーキとプレゼントをくれて、フォークが足りないから斗亜とケーキの食べさせ合いした時も、授業中に甘いものが食べたくて２人で抜け出してクレープ買いに行った時も、何気ない毎日の中で隣に居た斗亜は彼女が居るのにどんな気持ちで私と過ごしてたんだろう。

何も知らない私は友達で良いからって言いながらも好きって気持ちは隠せなかったし、そんな私の好意を斗亜は嫌な顔せず受け入れてくれてたのに、本当はずっと彼女が居たなんて、よく考えればただ弄ばれてただけなのに、斗亜の事を酷いって思えないのは嫌いになれないから。

・